前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅上昇となったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、五・十日で実需のドル買いが観測されたことから、ドルは仲値公示にかけて堅調な動きとなり、約1ヵ月ぶりに116円台を回復した。午後には日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比1000円超上昇となったことから、ドル円・クロス円は一段の上昇となり、ドル/円は116.20まで上昇し、2/10以来の高値を更新した。ただ、その後は上昇一服となり、上値の重い動きとなった。
欧州時間では、欧州主要株価指数が下落したことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、注目されたウクライナとロシアの外相会談に進展が見られなかったことも圧迫要因となった。一方、ECB理事会の声明で、量的緩和策の縮小が発表されたことや、「金利は現在より低くなる可能性」との文言が削除されたことを好感して、ユーロは主要通貨に対して上昇した。
米国市場では、序盤に発表された2月の米消費者物価指数が約40年ぶりの大幅な伸びとなり、これを受けて米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、上昇一服後は、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドルは対円で上値の重い動きとなった。一方、ラガルドECB総裁が会見で「経済環境は極めて不透明」「成長見通しへのリスクは著しく増大した」との見方を示したことを受けて、ユーロは下落に転じた。終盤には、下落した米主要株価指数が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、ウクライナとロシアの外相会談で停戦に向けた進展が見られなかったことで紛争の長期化が懸念され、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、2月の米消費者物価指数が約40年ぶりの大きさとなり、インフレが加速したことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比466ドル安まで下落した。その後、下げ幅を縮小して112.18ドル安(-0.34%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、125.59ポイント安(-0.95%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場での株高を背景に、日経平均株価が序盤から大幅上昇となり、800円超上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、五・十日で実需のドル買いが観測されたこともあり、仲値公示にかけてドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時前日比1000円高を突破したから、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ドル/円は、一時116.20まで上昇して2/10以来の高値を更新したものの、上昇一服後は上値の重い動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことや、欧州主要株価指数が軟調な動きとなったことが影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)注目されたウクライナとロシアの外相会談では、停戦に向けた進展が見られなかったことから、ウクライナ情勢の緊迫が長期化するとの懸念が高まり、ユーロは上値の重い動きとなった。その後、ECB理事会の結果発表で、量的緩和策の縮小が発表され、さらに「金利は現在より低くなる可能性」との文言が削除されたことを好感して、ユーロは主要通貨に対して上昇となった。
(4)米国市場では、序盤に発表された2月の米消費者物価指数が、前年比ベース1982年1月以来、40年1ヵ月ぶりの大きさとなった。これを受けて米10年債利回りが1.927%から2.017%まで上昇し、2/25以来約2週間ぶりに2%台を回復したことを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円では119.19まで上昇したものの、アジア時間に付けた119.20には届かなかった。上昇一服後は、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドルは対円で上値の重い動きとなった。一方、ユーロは主要通貨に対して上昇していたものの、今年のユーロ圏経済成長率が下方修正されたことや、ラガルドECB総裁が会見で「成長見通しへのリスクは著しく増大した」との見方を示したことを受けて、ユーロは下落に転じた。終盤には、下落した米主要株価指数が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
昨日、注目されたウクライナとロシアの外相会談に進展が見られなかったことから、紛争長期化への懸念が再び高まり、欧米の主要株価指数が下落となった。その流れを受けて、本日の日経平均株価も序盤から前日比600円超下落するなど、リスク回避が意識された動きとなっている。ドルは欧州通貨などからの逃避先として買われており、さらに米長期金利が再び2%台まで上昇したことから、対円でも116.38まで上昇して2017年1月以来の高値を付けた。ここからさらにドルの上昇、欧州通貨の下落が続くのか注目される。
米国市場では、3月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)の発表が予定されており、ウクライナ情勢を踏まえて消費者のマインドがさらなる低下が予想されていることから、結果発表とマーケットの反応に注目したい。
3/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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61.0 | 62.8 |
前回は市場予想を上回ったものの、2ヵ月連続の低下となり、2011年10月以来の低水準となった。現況、先行きの景況感がともに2ヵ月連続の低下となり、高インフレに対する消費者の懸念が依然として高いことが示された。今回は、さらに低下が予想されており、消費者のマインドの改善には時間を要すると見られている。 |