前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことからドル/円は一時121.41まで上昇した。一方、日経平均株価が上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後、ドル円・クロス円は反落したものの、日経平均株価が前日比800円超上昇したこともあり、底固い動きが続いた。その後、欧州時間では、欧州主要株価指数が下落したことでリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ウクライナ情勢の緊迫化が続いていることで投資家のリスク回避の動きが強まったことが影響した。しかし、下げが一服するとドル円・クロス円は値を戻す動きとなり、米国の利上げ加速期待を背景に、日米金利差拡大が意識されたことからドル/円は堅調な動きとなり、ドル/円の上昇にクロス円も終盤まで堅調な動きが続いた。
米株式市場では、ウクライナ情勢の悪化懸念に加え、原油先物が大幅上昇となったことから、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、FRBの利上げ加速を警戒した売りも加わり、主要株価指数は軒並み大幅下落となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きが続き、一時前日比454ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏を維持して448.96ドル安(-1.29%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、186.21ポイント安(-1.32%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は、時間外取引で米長期金利が上昇したことも加わり、一時121.41まで上昇して2016年2月以来の高値を更新した。一方、ユーロ/円は2021年5月以来、ポンド/円は2016年5月以来の高値をそれぞれ更新した。しかし、上昇一服後は円買い戻しの動きからドル円・クロス円は下落に転じた。ただ、日経平均株価が上昇して始まったこともあり、下値は限定的だった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大し、一時832円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、上昇して始まった欧州主要株価指数が下落に転じて下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ウクライナ情勢の緊迫化が続いていることや、欧米の主要株価指数が下落したことで投資家のリスク回避の動きが強まったことが影響した。しかし、下げが一服するとドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。加えて、サンフランシスコ連銀総裁が「少なくとも2.50%の利上げが必要」と発言したことや、セントルイス連銀総裁が「より速い利上げをすべき」との見方を示したことを受けて、大規模緩和策を継続している日銀との政策の違いが意識され、日米金利差拡大観測からドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は再び121円台まで値を戻した。一方、原油価格など資源価格の上昇を背景に、豪ドルはは主要通貨に対して上昇となり、対円では2015年8月以来の高値を更新した。
本日のトピックス
昨日の海外時間では、複数の米金融当局者が次回のFOMCで0.50%の利上げに前向きな姿勢を示したことで、日米金利差拡大が改めて意識されたことからドル/円は堅調な動きとなった。さらに、前週末の黒田日銀総裁の円安容認発言、日米の金融政策の違いが再び意識され、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。ここからさらにドル円・クロス円は底固い動きが続くのか注目される。
本日の米国時間では、新規失業保険申請件数、2月の耐久財受注の発表が予定されており、前者は小幅改善が予想されているが、後者は5ヵ月ぶりのマイナスが予想されている。マーケットの注目がウクライナ情勢や、利上げ期待を背景にした米国の長短金利の上昇であることから、予想外の結果とならなければ、反応は限定的と見られている。
一方、南アフリカの金融政策発表が予定されており、3会合連続の利上げが決定されるのか、さらに次回以降利上げが継続されるのかどうか、声明などにも注目したい。
3/24の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(3/19までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.1万件 | 21.4万件 |
前回は市場予想を下回り、2021年12/31までの週以来の低水準となり、労働市場の改善が進んでいることが示された。今回は、小幅減少が予想されており、改善が進んでいることが示されると見られている。ただ、州別では大幅増加となる州も見られることから、その影響が大きければ増加となる可能性もある。 | ||||
21:30 | 米国 |
2月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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-0.6% | 1.6% |
前回は市場予想と一致し、前月から伸び幅が拡大した。輸送機器や資本財が伸びたことが影響した。一方、変動の大きな輸送機器を除く受注はやや伸び幅を縮小した。今回は、3ヵ月連続で民間航空機が大きな伸びが続いた反動でマイナスとなる可能性もあり、このことが影響すると見られている。タダだ、輸送機器を除いた受注は前月並みの伸びが予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は堅調な動きが続いており、2016年2月以来の121円台を回復した。上昇が続いたことから、オシレーター系の指数では買われすぎの水準に達していることから、一旦の調整となるのかどうか注目したい。ファンダメンタルズ的にドル買い・円売りの強さが根強いことから、上昇トレンドが変わるような大幅な下落は現状では予測しにくい(上値の重い動きが一定期間続く場合には、その可能性が出る場合も)。
オシレーターのMACDでは、両線上向き継続中だが、両線の乖離幅が縮小しており、この傾向が続く場合には、先行するラインが失速する可能性も考えられる。目先の下値は、前日安値の120.594がポイントとなり、ここを下抜ける場合には、一旦の下げとなる可能性も考えられる。調整が進む場合には、38.2%押しの118.737近辺までの調整も考えられる。
ただ、安値を更新しない場合や、121円台を維持する場合には、直近高値の121.412を試す動きとなり、さらに高値を更新する場合には、次の上値のポイントとなる121.70を目指す可能性も考えられる。
気まぐれ投資コラム
南アの金融政策発表、利上げ継続が示唆されるか?
南アフリカ中銀は、政策金利を昨年11月に過去最低の3.50%から2会合連続で利上げを決定(11月3.50%⇒3.75%、1月3.75%⇒4.00%)しており、インフレ高進を抑えるために今回も利上げが予想されている。
南ア中銀の予想では、消費者物価指数は2022年が5.0%、2023年が4.4%、2024年が4.5%と予想されているが、昨日発表された2月の消費者物価指数は5.7%と2017年以来の高水準が続いており、南ア中銀の目標レンジ上限の6%近辺で推移している。
インフレ抑制のため、南ア中銀は利上げを継続すると予想されており、マーケットでは今回を含めて9月まで(3月、5月、7月、9月)にあと3回の利上げが予想されている。
※出所:SBILMがデータを基に作成