前営業日トピックス
東京市場では、序盤に鈴木財務相の円安牽制発言を受けてドル/円は一時125.11まで下落する動きとなり、クロス円も連れ安となった。しかし、下げ一服後は時間外取引で米長期金利が上昇したことから、再び堅調な動きとなり、125.76まで上昇する動きとなった。その後は、米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードも強まり、限定的な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された 3月の米消費者物価指数が前年比ベースで前月から上昇率が拡大し、1981年12月以来、40年3ヵ月ぶりの大きさとなったものの、コア指数が市場予想を下回ったことでインフレがピークアウトするとの見方が広がり、米長期金利が低下したことから、ドルも主要通貨に対して下落した。ただ、依然としてFRBが利上げを加速させるとの期待感も根強く、下げ一服後は再び堅調な動きとなり、ドル/円は一時124.70台まで下落したものの、終盤には125.36まで値を戻した。
米株式市場では、3月の米消費者物価指数でコア指数が市場を下回ったことが好感され、序盤は堅調な動きとなる場面もあった。さらに、米長期金利が低下したことも下支え要因となった。しかし、FRBが利上げを加速させるとの懸念も根強く、その後は売りが優勢となり、主要株価指数はマイナス圏まで下落して続落となった。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比361ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて終盤に205ドル安まで下落した。引けにかけては下げ幅を縮小し、87.72ドル安(-0.26%)で終了した。一方、ナスダックは40.39ポイント安(-0.30%)で終了し、S&P500と共に3営業日続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に鈴木財務相が「為替の安定が重要」とした上で「急激に変動することは望ましくない」とし、円安を牽制する発言を受けて、円買い戻しの動きが強まり、ドル/円は序盤の高値125.55から125.11まで下落した。一方、日経平均株価が序盤から下落したことから、クロス円も軟調な動きとなった。
(2)下げ一服後は、円売りの動きが強まり、さらに仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが観測されたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米10年債利回りが一時2.83%まで上昇し、2018年12月以来の高水準となったことから、ドル/円は持ち直した。その後も米長期金利が高水準で推移したことや、米消費者物価指数の伸び幅の拡大が予想されていることもあり、ドルは堅調な動きが続き125.75まで上昇した。一方、クロス円もドル/円の上昇に連れて堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された3月の米消費者物価指数が、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰などが影響し、前年比ベースで前月から上昇率が拡大、1981年12月以来40年3ヵ月ぶりの大きさとなった。しかし、コア指数が市場予想を下回ったことから、インフレがピークアウトするとの見方も広がり、米長期金利が低下したことから、ドルも主要通貨に対して下落した。ドル/円は、消費者物価指数発表前の125.60から124.76まで下落した。
(4)依然としてFRBが利上げを加速させるとの期待感も根強く、下げ一服後は再び125円台を回復する動きとなり、終盤には125.36まで値を戻した。一方、ユーロは米消費者物価指数の発表直後は対ドルで上昇したものの、その後は下落に転じて3/7以来の安値となり、対円でも軟調な動きが続いた。また、外貨を自国通貨のトルコ・リラに両替した企業の優遇税制措置の延長法案が提出されたとの報道を受けて、トルコ・リラは主要通貨に対して上昇し、対円では2/11日以来の高値を付けた。
本日のトピックス
昨晩発表された3月の米国の消費者物価指数では、前年比で約40年ぶりの高い伸びとなったものの、コア指数が前月比で伸び幅が2ヵ月連続で縮小したことから、インフレがピークアウトするとの見方が広がり、米長期金利が低下したことに連れてドルも主要通貨に対して下落した。しかし、依然として大幅な利上げが期待されていることから、ドルは底固い動きとなっており、5月のFOMCまでは底固い動きが続く可能性が考えられる。
本日の海外市場では、英国の消費者物価指数、米国の生産者物価指数の発表が予定されており、いずれもインフレ高進が示されると見られており、利上げの正当性が確認されると見られている。また、カナダの政策金利発表が予定されており、インフレ高進を背景に0.50%の利上げが予想されていることから、結果発表とマーケットの反応に注目したい。
4/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
3月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
|
10.6% | 10.0% |
前回は市場予想と一致し、過去最高水準を維持し、インフレ高進が示された。一方、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は8.4%と市場予想を下回った。今回は、前回を上回る伸びが予想されており、インフレの強さが示されると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ユーロ/円は、前回高値の137.523を前にして上値の重い動きとなっている。ここから下落に転じるのか、再び堅調な動きとなり、高値を上抜けて一段の上昇となるのか注目されている。
下値の重要なポイントとなる134.295を下抜ける場合には、一段の下落となる可能性が考えられ、その場合の下値目標の計算値は131.264となる。一方、137.523を上抜ける場合には、138円台から139円台への上昇も期待される。
気まぐれ投資コラム
カナダ中銀、予想通り0.50%の利上を決定か?
カナダ中銀は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響からの回復が続いていることから、前回3月の金融政策会合で0.25%の利上げを決定した。利上げは2018年10月以来となった。エネルギー価格上昇に伴うインフレ加速への対応のため、カナダ中銀は利上げを継続すると見られており、今回は前回を上回る0.50%の利上げが予想されている。
エコノミスト予想では、0.50%の利上げ予想が全体の53%、0.25%の利上げが44%、据え置きが3%となっている。また、2022年末までに政策金利が2.00%(現在0.50%)まで上昇すると予想されており、今後の会合の回数(年内あと6回)から、今回0.50%の利上げ、残り5回で0.25%ずつ利上げとの予想が示された。一方、金利先物市場では、2022年末までに2.75%までの上昇が織り込まれており、会合の回数を考えれば、0.50%の利上げを3回、0.25%の利上げを3回となるが・・・。
インフレ率の予想は、今年第1四半期が5.6%、第2四半期が5.9%、第3四半期が5.0%、第4四半期が4.4%となっており、今年はカナダ中銀の予想である2.0%を上回ると見られている。そのため、インフレ率の推移を見ながら利上げが実施されると見られている。
※出所:SBILMがデータを基に作成