前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、日経平均株価が下落して始まり、上値の重い動きとなったことや、日銀の金融政策発表を控えて限定的な動きとなった。午後に、日銀が金融政策の現状維持を決定したことを受けて、一時的に動きが出たものの、反応は限定的だった。ただ、その後の黒田総裁の会見で「金利を少し上げたら円安が止まるとは考えられない」としたことを受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州中銀が市場予想を上回る利上げを決定したことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇した。しかし、ラガルドECB総裁が会見で「経済活動は減速している」との見方を示したことや、「ECBは利上げを加速するが最終的な金利水準は変えない」としたことが嫌気され、ユーロは下落に転じた。一方、序盤に発表された米経済指標が軒並み悪化したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が大幅低下となったことを受けて、ドル主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は序盤に138.85から137.36まで下落した。
米株式市場は、ECBが大幅利上げを決定したことを受けて、世界的な景気減速を警戒した売りが先行し、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。その後は、米主要企業の四半期決算の良好な結果が続くとの期待感を背景に買いが優勢となり、主要株価指数はプラス圏を回復して3営業日続伸となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比340ドル安まで下落した。その後は上昇に転じて上げ幅を拡大し、162.06ドル高(+0.51%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、161.96ポイント高(+1.36%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。特に、ロシアによるガス供給への懸念やイタリアの政局混乱を背景に、海外市場でユーロの下落が続いていたが、その流れが一服して値を戻す動きとなっている。ただ、日経平均株価が下落して始まり、上値の重い動きが続いていることが上値を圧迫したとの見方もあった。
(2)午後に入り、日銀の金融政策発表で現行の金融緩和政策を維持すると発表され、思惑が交錯してドル円・クロス円は一時上下に振れたものの、値動きは限定的だった。日経平均株価は日銀の緩和策継続を受けて、後場に入りプラス圏に上昇して底固い動きが続き、さらに時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後の会見で黒田日銀総裁が、今はドルの独歩高でユーロやポンドも対ドルで下落しているとの見方を示した上で、金利を少し上げたら円安が止まるとは考えられないとの見方を示したことを受けて円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国時間では、ECB理事会の結果発表で市場予想を上回る大幅な利上げが決定されたことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇した。しかし、ラガルドECB総裁が会見で「経済活動は減速している」との見方を示したことや、「ECBは利上げを加速する」としたものの、「最終的な金利水準は変えない」としたことが嫌気され、ユーロは下落に転じた。一方、ECBの大幅利上げや、序盤に発表された米経済指標が軒並み悪化したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、南アフリカ中銀は市場予想を上回る大幅利上げを決定したことから、南ア・ランドは主要通貨に対して上昇したものの、上昇一服後は軟調な動きとなった。
(4)欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。一方、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.078%から2.869%まで低下したことを受けて、ドル主要通貨に対して一段の下げとなり、ドル/円は序盤の138.85から137.36まで下落した。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、ECBが約11年ぶりの利上げを決定したことから、一時ユーロは主要通貨に対して上昇となった。ただ、ECB総裁の会見での発言を受けて、今後の利上げのペースは当初の予想通りで、小幅利上げに留まるとの見方が広がったことや、利上げに伴う景気減速懸念を背景に、ユーロは下落に転じて上値の重い動きとなった。一方、日銀の金融政策発表では、当面政策の現状維持が続くことが明らかとなり、円は主要通貨に対して軟調な動きが続く可能性も考えられる。
ECB理事会の結果発表が終了したことで、来週の26-27日のFOMCの結果発表にマーケットの注目が移っている。本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されているが、株価や米金利の動きには敏感に反応する可能性もあり、各マーケットの動きに注目したい。