前営業日トピックス
ペロシ米下院議長の台湾訪問めぐる米中対立への警戒感から和らいだことからドル円・クロス円が大幅上昇となった前日の海外市場の流れを引き継ぎ、東京市場では序盤から堅調な動きとなった。しかし、240円超上昇した日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、上値の重い動きとなった。さらに、中国が台湾周辺での軍事演習を発表したことから再びリスク回避の動きが強まりドル円・クロス円は一段の下げとなった。下げ一服後は値を戻す動きとなったものの、上値は限定的だった。
米国市場では、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。序盤に発表された米経済指標がいずれも市場予想を上回ったことが好感され、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。さらに、米長期金利が上昇したこともドルの支援材料となり、ドル/円は134.56まで上昇した。ただ、上昇一服後は、米長期金利が低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
米株式市場は、米中関係の緊迫化懸念が後退したことや、米経済指標が市場予想を上回ったことが好感され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きが続き、終盤に一時前日比516ドル高まで上昇した。引けにかけて上げ幅を縮小し、416.33ドル高(+1.29%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、319.40ポイント高(2.59%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る米中対立への警戒感が和らいだことに加え、米当局者の積極的な大幅利上げを支持する発言を受けて、ドル/円は一時133.90まで上昇した。
(2)上昇一服後は、序盤に前日比242円高まで上昇した日経平均株価が下落に転じ、39円高まで上げ幅を縮小したことから、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、台湾外交部が、中国による演習に対して、台湾海峡の現状維持を妨害する行為とし、中国の行動は台湾の領土主権を侵犯としたことから、リスク回避の動きが再び強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ただ、下げ一服後は値を戻す動きとなった。
(3)米国市場では、米中関係の過度な懸念が和らいだことでリスク回避の動きが後退しており、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。その後、7月の米 ISM非製造業景況指数、6月の米製造業受注指数がともに市場予想を上回ったことが好感され、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが2.753%から2.847%まで上昇したこともドルの支援材料となり、ドル/円は序盤の133.45から134.56まで上昇した。
(4)上昇一服後、米10年債利回りが2.697%まで低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は133.76まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも底固い動きとなった。
本日のトピックス
昨晩発表された米経済指標が軒並み市場予想を上回る結果となったことから、ドルは堅調な動きとなった。ただ、原油価格がロシアのウクライナ侵攻前の2月以来の水準まで下落したことから、インフレ率の低下期待も高まっており、また大幅利上げ観測後退から米長期金利が低下したことでドルも上値の重い動きとなった。
本日の欧州時間では、英中銀の金融政策発表が予定されており、前回を上回る幅の利上げが予想されている。一方、米国市場では、新規失業保険申請件数(7/30までの週)の発表が予定されており、景気鈍化懸念の影響で増加が予想されている。週末に米雇用統計を控えているだけに懸念が大きくなるようなら、ドルの動きに影響が出る可能性も考えられる。
8/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
20:00 | 英国 |
MPC 政策金利
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
|
1.75% | 1.25% |
7/2に発表された6月の英国の消費者物価指数は9.4%と市場予想を上回り、約40年ぶりの高水準となった。英中銀は引き続き利上げを決定すると見られており、ECBと同様に0.50%の利上げが予想されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(7/30までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
26.0万件 | 25.6万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、2021年11/19までの週以来の高水準となった前週の結果から減少した。ただ、減少が小幅に留まっており、ハイテク企業や住宅企業の人員削減や採用縮小が影響している。今回は、前回から増加が予想されており、今後も続くと見られている。 |