前営業日トピックス
東京市場では、時間外取引の米長期金利の上昇を背景にドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともドルの支援材料となった。その後は、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが強まっており、やや上値は限定的だった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標の結果を受けてドルは軟調な動きとなった。しかし、パウエルFRB議長の講演での発言を受けて、金融引き締めの長期化観測が強まり、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、9月のFOMCで後退していた0.75%の利上げ期待が再び高まったことや、米長期金利の上昇を受けてドルは再び主要通貨に対して上昇となり、対円では序盤の安値136.21から137.50まで上昇した。一方、ユーロは序盤に対円で8/10以来の高値まで上昇したものの、ユーロ圏の景気減速懸念を背景に、ドルや円に対して軟調な動きとなった。
米株式市場では、パウエルFRB議長の講演での発言を受けて、金融引き締めの長期化観測が強まり、主要株価指数は軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことも加わり、下げ幅を拡大し、主要株価指数は軒並み大幅下落となった。ダウ平均株価は上昇して始まったものの、FRB議長の発言を受けて下落に転じ、終盤には一時前日比1013ドル安まで下落した。引けにかけて安値圏を維持したまま、1008.38ドル安(-3.03%)で終了、終値ベースでは7月下旬以来の安値となった。一方、ナスダックは、497.56ポイント安(-3.94%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、パウエル米FRB議長がジャクソンホールでの講演でタカ派的な姿勢を示すとの見方が広がっていることから、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比313円高まで上昇したことから、クロス円も底固い動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともドルの押し上げ要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、ドルは時間外取引で米長期金利が上昇したことから対円で137.13まで上昇した。上昇一服後は、欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことから、上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、FRBが金融政策を判断する上で重視している7月の米個人消費支出(PEC)デフレーターのコア指数が市場予想を下回ったことで、ドル売りが先行した。さらに、0.75%の利上げを支持していたアトランタ連銀総裁が、0.50%の利上げ支持に傾いていると発言したことも、ドルの圧迫要因となった。
(4)パウエルFRB議長がジャクソンホールでの講演で、「9月利上げの幅は完全にデータ次第」としたものの、「景気抑制の政策は一定期間必要」との見解を示したことで、金融引き締めの長期化観測が強まり、ドルは主要通貨に対して上昇した。ただ、講演終了後には、材料出尽くし感からドル売りが優勢となる場面もあったが、9月のFOMCで後退していた0.75%の利上げ期待が再び高まったことや、米長期金利の上昇を受けて、ドルは再び主要通貨に対して上昇となり、対円では一服後の安値の136.21から137.50まで上昇した。一方、ユーロはドル/円の上昇に連れて対円で8/10以来の高値まで上昇したものの、欧州の天然ガス価格が過去最高を更新したことから、ユーロ圏の景気への懸念が高まり、ドルや円に対して軟調な動きとなった。