前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。また、米長期金利が低下したことも影響してドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円の下落に連れてクロス円も軟調な動きとなった。その中で、政府は日銀の正副総裁人事案を国会に提示したが、事前に報道されていたこともあり、反応は限定的だった。欧州市場では、欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された1月の米消費者物価指数の結果を受けて、FRBが利上げを継続して高金利を維持するとの見方が広がり、ドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、複数の米当局者のタカ派発言を受けて、米長期金利が上昇したことも加わり、ドルは一段の上昇となった。ドル/円は、米消費者物価指数の発表直後に付けた安値の131.50から133.32まで上昇した。
米株式市場では、序盤に発表された1月の米消費者物価指数が市場予想を上回ったことや、米当局者が利上げ継続の必要性に言及したことを受けてリスク回避の売りが優勢となった。さらに、米長期金利が上昇したことも圧迫要因となった。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比418ドル安まで下落した。その後は値を戻したものの、終盤までマイナス圏での動き続き、156.66ドル安(-0.46%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、半導体関連株に買いが入ったこともあり、終盤にはプラス圏を回復し、68.35ポイント高(+0.57%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場終盤の軟調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことや、序盤に前日比294円高まで上昇した日経平均株価が上げ幅を縮小したことも加わり、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。
(2)下げ一服後は、底固い動きとなった。その後、政府が日銀総裁に植田和男元審議委員を、副総裁に内田真一氏、氷見野良三氏をそれぞれ国会に提示したものの、報道通りだったこともあり、反応は限定的だった。また、上げ幅を縮小した日経平均株価が下げ止まり、底固い動きとなったことも下支え要因となった。しかし、その後は米消費者物価指数の発表を控えて、ポジション調整の動きも見られ、ドルは上値の重い動きが続いた。ドル/円は、序盤の高値132.48から131.78まで下落した。欧州市場では、欧州株が堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1月の米消費者物価指数が前年比ベースで7ヵ月連続の縮小となったものの、市場予想ほどの鈍化とならなかったことから、FRBの利上げが長期化して高金利が維持される可能性との見方が広がり、ドルは主要通貨に対して上昇した。
(4)さらに、ダラス連銀総裁が「必要であれば予想以上に長く利上げを続ける用意がある」フィラデルフィア連銀総裁が「0.25%利上げ継続で5%を超える必要」など、複数の米当局者のタカ派発言を受けて、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.614%から3.795%まで上昇したことも加わり、ドルは一段の上昇となった。ドル/円は、米消費者物価指数発表直後に付けたの安値131.50から133.32まで上昇した。
本日のトピックス
前日の海外時間に発表された1月の米消費者物価指数が、前年比ベースで7ヵ月連続の縮小となったものの、直前予想では鈍化が進むとの見方が広がっていたこともあり、利上げ長期化観測からドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、当局者のタカ派発言もドルの押し上げに寄与したが、発言自体は最近の発言から大きな変化がない。ただ、消費者物価指数の結果もあり、やや過敏に反応した可能性も考えられる。
利上げ継続の有無は、経済データ次第と当局者も発言しているが、製造業や住宅関連の指標が悪化するなど、利上げ継続が影響している。そのため、今後金融政策を占う意味では米国の経済指標の結果が注目されている。本日の米国市場では、小売売上高や、NY連銀指数、鉱工業生産などの主要な経済指標の発表が予定されていることから、指標結果が注目される。
2/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
2月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-18.0 | -32.9 |
前回は予想外の大幅低下となり、2ヵ月連続のマイナスで2020年5月以来の低水準となった。新規受注、出荷、雇用者数が大幅に低下したことが影響し、過去10ヵ月間の中で7回目のマイナスとなり、利上げが継続される中で製造業の悪化が示された。ただ、6ヵ月先の予想は2ヵ月連続の上昇となった。今回は、マイナス幅の縮小が予想されているものの、依然としてマイナスが続くと予想されている。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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1.9% | -1.1% |
前回は市場予想を下回り、2021年12月以来の低水準となった。2ヵ月連続のマイナスとなり、高インフレに加え利上げ継続が個人消費を鈍化させていることが示された。全体的に低下したが、特に家具、ガソリンスタンドのマイナスが大きくなり、百貨店も大きなマイナスとなった。今回は、前回までの反動で前月比プラス改善が予想されている。 |