前営業日トピックス
東京市場では、日銀の正副総裁候補の所信聴取が行われ、植田日銀総裁候補の発言を受けて思惑が交錯してドル円・クロス円は乱高下となったが、マーケットでは発言内容がハト派的と受け止められてドル円・クロス円の上値は限定的となった。ただ、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時361円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きも見られた。欧州市場では、米長期金利が上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米個人所得・支出統計で、PCEデフレーターが市場予想を上回ったことで、FRBによる金融引き締めの長期化観測が強まり、米長期金利の上昇とともにドルは主要通貨に対して上昇した。さらに、複数の米当局者のタカ派発言を受けてドルは一段の上昇となった。一方、ユーロは対ドルで下落となり、1/6以来の安値を更新した。
米株式市場では、序盤に発表された個人所得・支出統計でPCEデフレーターの上振れを受けて、FRBの利上げ長期化懸念が高まり、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米長期金利の上昇も加わり下げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比510ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小したものの、336.99ドル安(-1.02%)で終了。一方、金利動向に敏感なナスダックは、米長期金利の上昇を受けて下げ幅を拡大、195.46ポイント安(-1.69%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。注目されていた植田日銀総裁候補が所信聴取で「現在の日銀の金融緩和は適切」と述べたことに反応して円売りが優勢となった。ドル/円は序盤の安値134.29から134.89まで上昇したが、その後に物価上昇は続くが1月の上昇率がひとまずピークになるとの見方を示したことから一転して円買いが優勢となり、ドル/円は134.06まで下落した。しかし、その後の発言からも現在の方針を踏襲していると受け止められて再び円売りが優勢となり、ドル/円は134.092まで上昇するなど、ドル円・クロス円は思惑の交錯する動きとなった。
(2)植田日銀総裁候補の所信聴取が終了し、全般的にハト派的と受け止められたものの、物価に落ち着きが見られれば今後政策修正の可能性も近いとの見方も根強く、上値の重い動きが続いた。ただ、欧州時間に入ると、米長期金利が上昇したことからドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。序盤に発表された米個人所得・支出統計で、FRBが金融政策を判断する上で重視しているPCEデフレーター、コア・デフレーターがともに市場予想を上回ったことで、FRBによる金融引き締めの長期化観測が強まり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.906%から3.962%まで上昇したことから、ドル/円は序盤の安値135.26から136.46まで上昇した。
(4)その後、クリーブランド連銀総裁が「金利は5%を幾分超えた水準にするべき」、ボストン連銀総裁が「高すぎるインフレに対処するために更なる利上げが必要」「最近の経済指標は追加利上げの根拠となる」と発言したことを受けて米長期金利が一段の上昇となり、ドル/円も136.52まで上昇して12/20以来の高値を更新した。一方、ユーロは対ドルで下落となり、1/6以来の安値を更新した。
本日のトピックス
週明けの東京市場では、序盤に前週末の米国時間に付けた高値の136.52を一時上抜けたて一時136.56まで上昇した。しかし、ドル/円は前週末に安値から2.4円以上の上昇となったこともあり、利益確定の動きなどから、上値の重い動きが続く可能性も考えられる。
ただ、海外市場では、再び堅調な動きとなる可能性も考えられる。マーケットでは、3月のFOMCの利上げ幅が0.50%になるとの見方も出ており、ドルは底固い動きとなる可能性も考えられる。また、本日の米国時間では、米耐久財受注などの経済指標の発表が予定されており、結果次第ではFRBの利上げ長期化観測が強まり、ドルが一段の上昇となる可能性もあり、結果が注目されている。
2/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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-3.9% | 5.6% |
前回は、市場予想を大幅に上回り、2020年7月以来の高水準となった。輸送機器が16.7%(前月-5.0%)の上昇となり、特に民間航空機が大幅に伸びたことが影響した。一方、変動の大きな輸送機器を除く受注は-0.1%だった。今回は、前回の反動で輸送機器の低下が予想されており、これが全体を引き下げると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.9% | 2.5% |
前回は市場予想を上回り、2021年10月以来の高水準となり、7ヵ月ぶりのプラスとなった。米長期金利が低下したことで、消費者の購入意欲が回復したと見られている。今回は、伸び幅の低下が予想されているものの、引き続きプラスが予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、上値の重要なポイントであった134.774を上抜けて一段の上昇となり、一目均衡表の雲上限ラインも上抜けた。ここから一段の上昇となるのか、一旦調整の動きとなるのか注目されている。
一目均衡表の雲を上抜けたものの、雲上限ラインが低下して抜けた形となっており、一旦上値の重い動きとなる可能性も考えられる。さらに、目先の動きを見る上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線が上向き継続中だが、両線の乖離幅が縮小している。乖離幅の縮小が続くようなら、一旦調整となる可能性も考えられることから、両線の動きには注目したい。
下値のポイントは、一旦上抜けた134.774と雲上限ラインの134.734近辺が重要なポイントと考えられる。雲上限ラインを下抜けて雲の中に入り込む展開となる場合には、一段の下げとなる可能性も考えらえる。一方、上値のポイントは、本日付けた高値の136.555となり、ここを上抜けた場合には、次のポイントとなる138.172までの上昇も考えられる。