前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。中国の経済指標が良好な結果となり、アジア株が買われた一方で円が売られ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、上昇一服後は上値の重い動きが続き、さらに欧州時間に入ると米長期金利が低下したことなどを受けてドル売り・円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、2月の米ISM製造業景況指数で価格指数が市場予想を上回ったことを受けて米長期金利が上昇となり、ドルは主要通貨に対して上げ幅を拡大した。ドル/円は、序盤の135.40から136.32まで上昇したが、その後は米長期金利の上昇が一服したことで、終盤にかけてドルもやや上値の重い動きとなった。
米株式市場では、序盤に発表された2月の米ISM製造業景況指数で、価格指数が市場予想を上回ったことを受けて、FRBによる利上げの長期化を警戒した売り優勢となった。さらに、米長期金利が上昇したことで、金利動向に敏感なナスダックは下げ幅を拡大した。ただ、ダウ平均は一時昨年11/9以来の安値を付けたことで、値頃感の買い戻しも見られた。ダウ平均株価は、序盤から上値の重い動きとなり、一時前日比155ドル安まで下落して11/9以来の安値を付けた。その後は前日の終値を挟んだ展開が続き、5.14ドル高(+0.02%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、76.06ポイント安(-0.66%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の終盤の底固い動きを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な軟調な動きとなった。ただ、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比140円安まで下落したことから、ドル円・クロス円の上値は限定的だった。一方、オーストラリアの第4四半期GDPが市場予想と一致したものの、2021年3月以来の低水準となったことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。その後に発表された中国のPMIが市場予想を上回ったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、特に豪ドルは上げ幅を拡大した。豪ドル/円は、序盤の安値の91.28から92.19まで上昇した。また、午後に入り日経平均株価がプラス圏を回復して上げ幅を拡大したことも加わり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(2)欧州時間では、上昇していた米長期金利が低下したことからドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は東京時間に付けた高値136.47から135.25まで下落した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したものの、対円ではドル/円の下落に連れて上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、欧州市場の軟調な流れが一服し、低下していた米長期金利が上昇に転じたことからドル買い・円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、2月の米ISM製造業景況指数が市場予想を下回ったものの、価格指数が市場予想を上回ったことを受けて米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.004%まで上昇し、昨年11/10以来の4.0%台を付けたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上げ幅を拡大した。ドル/円は、序盤の135.40から136.32まで上昇したが、その後は米長期金利の上昇が一服したことでドルもやや上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、2月のドイツ消費者物価指数が市場予想を上回る結果となったことを受けて、独10年債利回りが11年半ぶりの高水準となり、ユーロの押し上げ要因となった。一方、2月の米ISM製造業景況指数で、価格指数が市場予想を上回ったことを受けて、米10年債利回りが昨年11月以来の4.0%台乗せとなり、ドルを押し上げた。
独連銀総裁が「ECBには3月以降も大幅な利上げが必要」と発言するなど、マーケットでも3月以降の追加利上げを見込んでいる。一方、FRBも次回の利上げ幅の拡大の可能性が指摘されているが、次回以降は利上げ停止に向かうとの見方もある。ただ、現状では日銀の政策修正に向けた動きが明確になっていないことから、欧米と日本との金利差はさらに拡大するとの観測から円売り・ドル買い・ユーロ買いとなる可能性が考えられる。
本日の海外市場では、2月のユーロ圏の消費者物価指数の発表が予定されており、フランスやドイツに続いて上振れとなれば、ECBの利上げ期待の高まり、欧州債の利回り上昇となり、ユーロを押し上げる可能性もある。一方、米国では、新規失業保険申請件数の発表が予定されており、こちらの結果にも注目したい。
3/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(2/24までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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19.7万件 | 19.2万件 |
前回は市場予想を下回り、2週連続の減少となり、労働市場のひっ迫していることが示された。3月の利上げを正当化するデータとして見ることができるとの指摘もあった。今週は、小幅増加が予想されているが、引き続き低水準が維持されると見られている。 |