前営業日トピックス
前日の海外市場終盤の堅調な流れが一服し、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。連日米国の物価関連の経済指標が低下したことで、FRBの利上げ終了への思惑が改めて意識された。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで堅調な動きとなったことや、日経平均株価の上昇を受けて、対円で底固い動きとなった。
NY市場では、3月の米小売売上高が予想以上の低下となったものの、FRB理事が更なる利上げが必要と発言したことを受けて、米金利上昇とともにドルは堅調な動きとなった。さらに、4月のミシガン大学消費者信頼感指数で、1年先期待インフレが予想以上の大幅上昇となったことを受けて、ドルは一段の上昇となった。ドル/円は、序盤に一時132.20まで下落したものの、その後は上昇に転じて133.84まで上昇した。
米株式市場では、序盤に発表された米小売売上高が予想以上の低下となったことや、米当局者のタカ派発言、期待インフレ率の大幅上昇を受けて利上げ長期化観測が高まったことから、主要株価指数は売りが優勢となった。下げ一服後は好調な米企業決算を好感した買いが入り、終盤にかけて下げ幅を縮小した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比298ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、143.22ドル安(-0.42%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは-42.80ポイント安(-0.35%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、米国の消費者物価指数、生産者物価指数の発表が終了し、ともに大幅な鈍化となったことで、FRBの利上げサイクルの終了が近いと見方からドルが下落した流れを引き継ぎ、ドルは序盤から軟調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が低下したことや、日銀の政策修正への思惑が交錯していることも加わり、軟調な動きが続いた。一方、欧州通貨や資源国通貨は、対ドルで上昇したが、ドル/円の下落に押されて押されて対円では上値の重い動きとなった。
(2)午後に入ってもドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いたものの、欧州通貨や資源国通貨は日経平均株価が午後に入っても底固い動きが続いたことから、対円でも底固い動きとなった。欧州時間に入り、ドル/円は一時132.17まで下落したものの、その後は堅調な動きとなり、クロス円もドル/円の動きに連れて堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された3月の米小売売上高が予想以上の低下となったことを受けてドル売りとなったものの、対円ではこの日の安値である132.17や前日安値の132.02が意識されて下値は限定的だった。さらに、ウォラーFRB理事が「インフレはまだ高すぎる」「更なる利上げが必要」と発言したことを受けて、米金利上昇とともにドルは堅調な動きとなった。その後、4月のミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことや、1年先期待インフレが予想を大幅上回り、約2年ぶりの大幅な上昇となったことを受けて、ドルは一段の上昇となった。ドル/円は、序盤の132.61から米小売売上高発表直後に一時132.20まで下落したものの、その後は上昇に転じて133.84まで上昇した。
本日のトピックス
先週末の4月のミシガン大学消費者信頼感指数で、1年先の期待インフレが4.6%(前回は3.6%)と大幅な上昇となったことで、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。米金利先物市場では、5月のFOMCでの0.25%の利上げ確率が8割超となり、先週のCPI後の6割超から上昇している。さらに、0.25%の利下げはCPI後では年内2回が織り込まれていたものの、先週末の結果を受けて年内1回に後退している。
そのため、ドルは底固い動きが続く可能性も考えられる。ただ、依然として米国のインフレはピークアウトしているとの見方が根強いことから、今後の指標結果次第で金融政策に対する思惑が交錯し、米金利の動きにドルの動きも左右される展開が予想されており、5月のFOMCまでの指標結果が注目されている。
本日の米国市場では、4月のNY連銀製造業業況指数、米NAHB住宅市場指数の発表予定されており、さらに米当局者の発言も予定されていることから、指標結果と発言の内容に注目したい。
4/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-18.0 | -24.6 |
前回は市場予想に反して低下となり、4ヵ月連続のマイナスで製造業の景気後退が続いていることが示された。新規受注と出荷が大きく低下したことが影響し、雇用者数もマイナス幅を拡大して2020年4月以来の大幅なマイナスとなった。今回は、マイナス幅の縮小が予想されているものの、依然としてマイナスが続き製造業の景気後退が続いていることが示されると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、上値のポイントとされる一目均衡表の基準線を上抜けており、ここから一段の上昇となるのかどうか注目されている。
目先の上値のポイントは、一目均衡表の雲上限ライン(本日は134.475に位置しているが、21日には134.294まで低下)であり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられる。また、目先の動きを見る上で注目されているオシレーターのMACDでは、両線上向き継続中であり、先行するラインがゼロポイントを上抜けている。ここから両線がゼロポイントを上抜ければ、上昇の継続を示唆する形状となることから、両線の動きに注目したい。
一方、下値のポイントは雲下限ラインと基準線となる。