前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに海外市場でも株安を背景に、日経平均株価も序盤から軟調な動きとなり、一時前日比300円超下落したことも影響した。午後には下げ一服となり、ドル円・クロス円は値を戻る動きとなったが、ドルの上値は限定的だった。欧州市場では、時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米耐久財受注が市場予想を上回ったものの、米地銀ファースト・リパブリック銀行への救済に政府が消極的との報道を受けてドルは主要通貨に対して下落となり、さらに米金利の低下も加わり、ドル/円は一時133.02まで下落した。その後、米金利が持ち直したことからドル/円も値を戻したが、「ファースト・リパブリック銀行のFRB貸出へのアクセス制限も」との関係者の話が報じられたことを受けて、再びドル/円は下落した。
米株式市場では、ハイテク大手のマイクロソフトの四半期決算の内容が好感され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、米地銀のファースト・リパブリック銀行の経営不安を背景に金融株が下落したことが圧迫要因となった。ただ、ハイテク大手の決算を好感してハイテク株全般が買われたことから、ナスダックはプラス圏を維持して終了した。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、前日比115ドル高まで上昇した。しかし、その後は下落に転じて下げ幅を拡大し、終盤には一時294ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小し、228.96ドル安(-0.68%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、55.19ポイント高(+0.47%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場で米中堅銀ファースト・リパブリック・バンクの大規模な預金流出を受けて金融システム不安が再燃、リスク回避の動きが強まった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から下落したことも圧迫要因となったが、仲値公示にかけては実需のドル買いも観測されて値を戻す動きも見られた。一方、オーストラリアの消費者物価指数が予想を下回ったこから追加利上観測が後退し、豪ドルは軟調な動きとなった。
(2)午後に入ると下げが一服し、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。しかし、欧州市場では欧州主要株価指数が下落したことから、リスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、その後米長期金利が急速に上昇したことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、ドル/円の上昇にクロス円も連れ高となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米耐久財受注が市場予想を上回ったものの、設備投資の先行指標であるコア資本財が2ヵ月連続のマイナスとなったことが影響し、ドルの上昇は一時的となった。さらに、米地銀ファースト・リパブリック銀行への救済に政府が消極的との報道を受けてドルは主要通貨に対して下落となり、さらに米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.429%から3.375%まで低下するなど金利の低下も加わり、ドル/円は指標発表後に付けた高値133.94から133.02まで下落した。
(4)その後、米10年債利回りが3.452%まで大幅に持ち直したことから、ドル/円も一時133.88まで値を戻したが、「ファースト・リパブリック銀行のFRB貸出へのアクセス制限も」との関係者の話が報じられたことを受けて、ドル/円は再び133.48まで下落した。
本日のトピックス
前日の米国市場では、大手企業の良好な決算発表や予想を上回る米経済指標の発表があったものの、米地銀の経営不安を背景に米金利が低下するなど、好悪材料が交錯して値動きも不安定となった。金融システム不安に加え、冴えない米経済指標結果による景気の先行き不透明感、さらに債務不履行問題などがあり、神経質な展開が続く可能性が考えられる。特に、今週末には日銀の金融政策決定会合の結果発表、植田新総裁の初めての会合後の会見、来週にはFOMC、米雇用統計、日本市場の休場が予定されていることから、神経質な動きは来週末まで続く可能性も考えられる。
本日の米国市場では、第1四半期の米GDP、新規失業保険申請件数などの発表が予定されており、ここまで米経済指標は比較的冴えない結果が続いていることもあり、指標の結果次第では景気の先行き不安が高まる可能性も考えられる。さらに、金融システム不安の再燃が燻っていることもあり、関連する報道にも注意したい。
4/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
第1四半期GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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2.0% | 2.6% |
前回の第4四半期GDPは、前期から伸び幅が低下した。利上げの影響でコストが上昇となり、企業利益が減少したことが影響した。今回の第1四半期GDP速報値は、さらに伸び幅の縮小が予想されており、コスト上昇が引き続き影響している可能性も指摘されている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(4/21までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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25.0万件 | 24.5万件 |
前回は市場予想を上回り、2週連続の増加となった。一方、失業保険継続受給者数も予想を上回る増加となり、2021年11月以来の高水準となるなど、労働市場の軟化が続いていることが示された。今回は、申請件数、継続受給者数ともに増加が予想されており、比較的堅調だった労働市場に陰りが見え始めていることが示されると見られている。 |