前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大きく上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されえたことも加わり、ドルは堅調な動きが続いた。しかし、上昇一服後、ドルは主要通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。
米国市場では、5月の米消費者物価指数が前年比で予想以上の鈍化となったが、コアが予想を上回ったことで、物価の鈍化ペースが遅いとの見方が広がった。ドルは、発表直後に上下に振れる動きとなった。ただ、米金利が上昇に転じたことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米株式市場では、米消費者物価指数が前年比で予想以上の大幅な鈍化となったことから、FRBが利上げを見送るとの見方が強まり、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、コア指数の鈍化ペースが遅いことから、長期にわたり高金利が維持されるとの警戒感も根強く、上値は限定的だった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比243ドル高まで上昇した。ただ、その後は上値の重い動きが続き、145.79ドル高(+0.43%)で終了し、終値ベースで2/13以来の高値を更新。一方、ハイテク株中心のナスダックは111.40ポイント高(+0.83%)で終了し、昨年4/19以来の高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、ドル円・クロス円は序盤からやや上値の重い動きとなったが、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比560円超上昇したことから、投資家のリスク選好の動きが強まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドルが主要通貨に対して下落に転じ、対円でも軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の安値139.40から139.66まで上昇後、139.33まで下落した。
(2)午後に入ると、日経平均株価がさらに上げ幅を拡大して前日比693円高まで上昇したことや、対ドルで上昇したことから、欧州通貨や資源国通貨は対円で一段の上昇となった。一方、ドル/円は上値の重い動きとなった。その後は、米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが強まり、限定的な動きとなった。
(3)米国市場では、5月の米消費者物価指数が前年比ベースで4.0%と市場予想の4.1%を下回る鈍化となったが、コア指数が前年比で5.3%と予想の5.2%を上回ったことで、物価の鈍化ペースが遅く利上げサイクルの停止にはさらにデータを確認する必要があるとの見方が広がった。ドルは、発表直後に139.98まで上昇したものの、139.06まで下落するなど、上下に振れる動きとなった。ただ、その後は低下していた米金利が上昇に転じ、2年債利回りが3/10以来、10年債利回りが5/25以来の高水準まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、CPI発表後の安値の139.01から140.31まで上昇した。
本日のトピックス
昨日発表された5月の米消費者物価指数では、前年比ベースで大幅鈍化となったものの、コア指数が市場予想を上回るなど、鈍化ペースが遅いことが示された。この結果を受けて、今回のFOMCでの利上げ見送りとの見方が強まった。ただ、金利先物市場では、7月のFOMCでの0.25%の利上げは依然として70%を上回る水準となっており、金利の上昇を受けてドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。
今回のFOMCでは、金利据え置きとの見方が優勢となっていることに加え、前日の上昇していることから、ドルは上昇一服となる可能性も考えられる。注目は、次回以降の利上げの可能性であり、それを見極めるために、声明やFRB議長の会見での発言内容が注目される。さらに、メンバーの金利予想なども注目されている。
また、ECB理事会や、日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えていることもあり、神経質な展開が予想されている。
6/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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1.5% | 2.3% |
前回は市場予想を下回り、10ヵ月連続の低下で2021年1月以来の低水準となった。サプライチェーンの改善と商品コストの低下などを背景に、低下が続いている。今回は一段の低下が予想されており、予想通りの結果なら、2020年12月以来の低水準となる。 |
気まぐれ投資コラム
FOMC、予想通り据え置きか? 予想外の利上げか?
FRBはここまで10会合連続で利上げを実施しており、政策金利を合計5.00%引き上げている。米消費者物価指数は、ピークの昨年6月の9.1%から10ヵ月連続の低下で4.9%まで低下しているものの、依然としてFRBの目標である2%を上回っている。
パウエルFRB議長は、前回のFOMCで利上の停止の可能性を示唆したものの、依然として物価が目標を上回っていることや、米経済が比較的底堅さを維持していること、さらに複数のFRB高官が追加利上げの可能性に言及したことから、再び利上げ期待が高まり、年内利下げ予想は急速に後退した。
マーケットでは、今回利上げが一旦停止されると予想されているものの、次回7月には利上げが決定されると見られている。金利先物市場では、今回のFOMCでの0.25%の利上げを22%織り込む水準となっており、来月7月のFOMCでの0.25%の利上げは84%織り込む水準となっている。
6-7月で0.25%の利上げと見られているが、今回は予想通りの据え置きで、7月に利上げが決定されるのか、今回前倒しで利上げが決定され、7月に利上げサイクルの停止となるのか注目されている。さらに、今後の金融政策に関する声明やパウエルFRB議長の会見での発言にも注目したい。
※出所:SBILMがデータを基に作成
※出所:SBILMがデータを基に作成