前営業日トピックス
東京市場では、ドットチャートで年内あと2回の利上げが示唆されたことを受けて、ドルが上昇した前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤からドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が上昇したことや、米長期金利が上昇したこと、さらに五・十日の実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。午後に入っても堅調な動きが続き、ドル円・クロス円は一段高となった。ただ、欧州時間では、欧州主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったこともあり、やや上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米小売売上高が市場予想を上回る結果となったものの、米新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことを受けて、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して下落した。一方、ECB理事会で0.25%の利上げが決定されたことや、追加利上げが示唆されたことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇となり、対円で5/11以来、対ドルでは2008年9月以来の高値を付けた。
米株式市場では、序盤に発表された5月の米小売売上高が市場予想を上回り、個人消費の底堅さが示されことを受けて買いが先行した。さらに、前日年内あと2回の利上げの可能性が示唆されたものの、利上げに懐疑的な見方が広がったことも支援材料となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比509ドル高まで上昇した。引けにかけて上げ幅を縮小したものの、428.73ドル高(+1.26%)で終了し、昨年11/30以来の高値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、156.34ポイント高(+1.15%)で終了し、終値ベースで昨年4月以来1年2ヵ月ぶりの高値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日のFOMCで予想通り政策金利の据え置きが決定されたが、メンバーの予想で年内2回の利上げが示唆されたことを受けて米金利上昇とともにドルが主要通貨に対して堅調な動きとなった流れを引き継ぎ、ドルは序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、時間外取引で米長期金利が上昇したこと、五・十日で実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は序盤の安値139.95から141.05まで上昇した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したものの、ドル/円の上昇に連れて対円では堅調な動きとなった。
(2)その後、松野官房長官が「為替の過度の変動望ましくない、必要があれば適切に対応する」と発言したことを受けて、ドルは一時下落したものの、午後に入り、週末の日銀金融政策決定会合で政策の現状維持が見込まれることから、日米の金利差拡大観測が強まり、さらに日経平均株価、米長期金利が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は一段の上昇となり、ドル/円は一時141.50まで上昇した。ただ、上昇一服後は、やや上値の重い動きとなり、欧州主要株価指数の下落などもあり、上値の重い動きとなった。一方、ユーロは利上げ期待が高まっていることから、ドルや円に対して堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米小売売上高やNY連銀製造業景気指数が市場予想を上回る結果となったものの、米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、足元の労働市場の減速不安が示されると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.834%から3.706%まで低下するなど、米金利が軒並み低下したことから、ドルも主要通貨に対して下落した。ドル/円は、序盤の高値141.30から140.16まで下落した。一方、ECB理事会で0.25%の利上げを決定し、8会合連続の利上げが決定された。さらに、次回以降の利上げが示唆されたことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇し、対円で5/11以来、対ドルでは2008年9月以来の高値を付けた。
本日のトピックス
昨日の米国市場では、雇用関連の経済指標が冴えない結果となり、このところの労働市場の悪化が見られ始めたことを受けて、米金利低下とともにドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、FOMCでFRBの年内2回の利上げが示唆されたものの、利上げに対して懐疑的な見方もあり、ドルの上値を圧迫した。一方、ECBは8会合連続の利上げを決定し、さらに追加利上げの可能性を示唆したことから、ユーロは主要通貨に対して上昇し、対ドルでは2008年9月以来の高値を付けた。
本日は、日銀の金融政策決定会合の結果発表が予定されており、政策の現状維持が予想されている。ECBは追加利上げ、FRBも懐疑的との意見があるのものの、追加利上げが示唆されており、加えてオーストラリア、カナダは再び利上げを決定しており、英国も利上げ期待がある。そのため、日銀の声明や植田日銀総裁の会見での発言が引き続きハト派的と受け止められれば、さらなる金利差拡大が意識されて円売りが加速する可能性も考えられる。
ただ、ドル/円は最近の上昇局面では、財務相などの牽制的な発言が再び見られるようになっていることから、140円台後半から141円台中盤近辺では、介入への警戒感が意識される可能性も考えられる。今後、このレンジでの値固めができれば、142円台への上昇もあるだろう
6/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
6月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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60.1 | 59.2 |
前回の確報値は市場予想を上回ったものの、昨年11/30以来の低水準となった。12年ぶりの高水準となった長期インフレ期待が下方修正されたものの、債務上限を巡る不透明感が圧迫要因となった。今回の速報値では、長短のインフレ期待の低下が予想されており、前月から小幅改善が予想されている。 |