前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価の上昇や米金利上昇を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、株価や金利が下落に転じたことや、日銀総裁と首相が会談するとの報道を受けて、円買いが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、植田日銀総裁が為替相場の変動についての議論はなかったとしたことから、一転して円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。ただ、欧州時間では、欧米の金利低下を受けて円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、米長期金利の上昇に伴い、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時146.13まで上昇したものの、東京時間の高値146.40には届かなかった。その後、米長期金利が低下したことや、米経済指標が冴えない結果となったこと受けて、ドルは下押ししたものの、その後は底固い動きが続いた。
米株式市場では、ジャクソンホール会議での講演で、パウエルFRB議長がタカ派的な発言をするとの見方を背景に、FRBの利上げ長期化を警戒した売りが先行した。さらに、米格付け会社が前日に一部の米銀行の格付けを引き下げたとの報道も圧迫要因となった。一方、下げ過ぎ感からハイテク関連株が引き続き買われたことから、ナスダックは序盤から底固い動きが続いた。ダウ平均株価は、序盤に前日比50ドル高まで上昇したものの、その後は下げに転じて一時206ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅をやや縮小したものの、174.86ドル安(-0.51%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、8.29ポイント高(+0.06%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から340円高まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米10年債利回りが前日の海外市場で付けた2007年11月以来の高水準の4.351%を上抜けて4.361%まで上昇したことも加わり、ドル/円は146.14から146.40まで上昇した。しかし、その後は上昇していた米金利や日経平均株価が低下に転じたことや、日本の長期金利が上昇したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、植田日銀総裁が岸田首相と会談するとの報道を受けて、円買いが強まりドル円・クロス円は一段の下落となり、ドル/円は一時145.85まで下落した。その後、植田日銀総裁が、首相と経済・金融情勢の意見交換をしたが、為替相場の変動についての議論はしなかったとしたことから円売りとなり、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。しかし、欧州時間では欧米の金利が低下したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)米国市場では、序盤から米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.304%から4.359%まで上昇したことに伴い、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の145.73から146.13まで上昇したものの、東京時間に付けたこの日の高値の146.40には届かなかった。
(4)上昇一服後、米10年債利回りが下げに転じて4.312%まで低下ことや、7月の米中古住宅販売件数が市場予想の415万件を下回る407万件となり、1月以来の低水準となったことを受けてドルは一段の下落となったものの、その後は底固い動きが続いた。一方、ドイツなど欧州債利回りが低下したことから、ユーロは対ドルで軟調な動きが続き、一時6/15以来の安値を付け、対円でも欧州時間から軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、米長期金利の動きにドルが左右される展開となった。一方、東京時間でも日本の長期金利の動きにドル/円などが反応しており、ユーロもドイツなど欧州債利回りの低下を受けて主要通貨に対して下落している。
マーケットでは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言に注目が集まっており、その他の主要中銀総裁の発言も注目されている。そのため、様子見ムードから会議までは限定的な動きが続く可能性も考えられる。ただ、発言内容を巡る思惑から金利敏感に動いていることから、引き続き金利の動向には注目したい。
本日の海外市場では、欧州時間にはドイツや欧州の製造業PMIの発表が予定されており、特に速報であることから、結果を受けて動きが出る可能性もあることから注目したい。また、米国市場では、製造業PMI、新築住宅販売件数の発表が予定されており、結果が注目されている。
8/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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70.4万件 | 69.7万件 |
前回は市場予想を下回り、4ヵ月ぶりの減少となった。中古住宅の在庫減少を背景に、昨年から増加傾向が続いているが、増加が続いた反動との見方もある。ただ、高水準が維持されているローン金利や販売価格の高止まりが影響しているとの見方もある。今回は、前月から増加が予想されており、中古住宅の在庫減少が引き続き押し上げ要因となっていることが示されると見られている。 |