前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。海外時間では、ドル/円が150円台乗せとなったが、政府・日銀からの円安牽制もなく、東京時間でも財務相などの発言があったものの、通常と変わらないトーンであったことから、ドル買い・円売りが強まり、ドル/円は一時150.77まで上昇した。一方、日経平均株価が序盤から大きく下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなったが、引け後はドル/円の動きに連れて堅調な動きとなった。そして、介入への警戒感が高まる中で、円買い・ドル売りが入ると一気に加速してドル円・クロス円は急速な下げとなった。その後、値を戻したものの、上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、米長期金利が低下に転じると、ドルも一転して下落となった。その後、ドルは再び堅調な動きとなったものの、米長期金利の低下が続いたことから、終盤まで上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、米経済指標が良好な結果となったことで、FRBの金融引き締め長期化観測から主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。その後、米長期金利が大幅に低下したことで、下げ幅を縮小する場面もあったが、米企業の四半期決算が冴えない結果となったことも影響し、引けにかけて再び下げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤に前日比69ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて291ドル安まで下落した。下げ一服後は15ドル高まで値を戻したものの、終盤にかけて再び下落に転じて251.63ドル安(-0.76%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、225.61ポイント安(-1.76%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は、前日の海外市場の高値150.15を上抜けて150.19まで上昇した。その後、鈴木財務相が為替相場に関して「今まで通りしっかり緊張感を持って注視していく」と発言したことを受けて、150.04まで下落したものの、反応は限定的で底固い動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことからドル/円は一段の上昇となり、150.48まで上昇した。一方、日経平均株価が序盤から大きく下落となり、一時前日比680円超下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、米長期金利が一段の上昇となったことから、ドル/円はさらを拡大して150.78まで上昇した。しかし、上昇一服後、円買いが入ると急速な下げとなり、ドル/円は149.91まで下落するなど、クロス円も大きく下落した。下げ一服後は値を戻す動きとなったものの、上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された米GDP速報値が市場予想の4.5%を上回る4.9%となり、5四半期連続のプラス成長となり、約2年ぶりの高水準となったことや、耐久財受注が市場予想の1.9%を上回る4.7%となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、米長期金利が低下に転じると、ドルも一転して下落となり、ドル/円は指標発表後の高値150.52から150.09まで下落した。その後に発表された米中古住宅販売仮契約が市場予想の-2.0%を上回る1.1%となり、1月以来の高い伸びとなったことから、ドルは再び堅調な動きとなり、ドル/円は150.50まで値を戻した。
(4)ただ、米長期金利の指標となる米10年債利回りが序盤の4.976%から4.833%まで低下したことから、終盤まで上値の重い動きが続いた。一方、ラガルドECB総裁が理事会後の会見でユーロ圏経済の弱さに言及したことを受けてユーロは主要通貨に対して下落したが、下げ一服後はドルや円に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日の東京時間に為替介入への警戒感が強まる中、円買い・ドル売りが入るとドル/円は高値の150.78から急速な下げとなり、一時149.91まで急落となった。政府・日銀による為替介入ではなく、介入への警戒感が強まったことが影響したと見られている。
現在も150円台で推移していることから、一段の上昇となる場合には、介入への警戒感から再び急速な下げとなる可能性も考えられることから、注意が必要だろう。ただ、来週日米の金融政策発表を控えていることもあり、介入に踏み込みにくいとの見方もある。そのため、急速な上昇となった場合には、口先介入などの手段が取られる可能性もあるだろう。
昨日の米GDPの結果を受けて、FRBの金融引き締め長期化観測が広がっており、本日発表される個人支出、デフレーター、ミシガン大消費者信頼感指数などの指標結果に注目したい。経済指標の良好な結果が続く場合には、FOMC後のFRB高官のタカ派発言が続く可能性も考えられる。
10/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
10月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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63.0 | 63.0 |
前回は市場予想を下回り、昨年6月以来の低水準となった。現況指数、期待指数ともに低下となり、消費者の楽観的な見方が後退していることが示された。一方、1年先の期待インフレ率が市場予想を上回り、5ヵ月ぶりの高水準となった。今回の確報値は、速報から横ばいが予想されているが、現況指数、期待指数の修正があるのか注目したい。 |