前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から大幅上昇となったことや、11月の日本の実質賃金が20ヵ月連続のマイナスとなったことを受けて、日銀のマイナス金利解除観測が後退するとの見方が広がったことから円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、欧州時間に入ると上昇が一服したものの、底固い動きが続いた。
米国市場では、日銀の早期政策修正の後退観測が引き続き材料視されて円売りが継続、さらに米長期金利の上昇も加わり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きが続いた。一方、ECB専務理事がインフレの上振れリスクに言及したことを受けてユーロは主要通貨に対して上昇となり、対円では昨年12/1以来の高値を付けた。
米株式市場では、今週から本格化する米企業決算への期待から買いが優勢となった。ただ、12月の米消費者物価指数の発表を11日に控えて様子見ムードも強く、上値は限定的だった。ダウ平均は、序盤から堅調な動きが続き、一時前日比215ドル高まで上昇した。終盤には上げ幅を縮小し、170.57ドル高(+0.45%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、111.94ポイント高(+0.75%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に発表された11月の日本の実質賃金が20ヵ月連続のマイナスとなったとこを受けて、日銀のマイナス金利解除が先送りになるとの見方が強まり、円売りが優勢となった。さらに、日経平均株価が序盤から大きく上昇となり、前日比630円超上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、序盤の144.31から144.94まで上昇した。
(2)午後には、日経平均株価が一段の上昇となり、775円高まで上昇したものの、米消費者物価指数の発表を翌日に控えていることもあり、ここからはやや上値の重い動きとなった。また、欧州主要株価指数が序盤に上昇したものの、その後はマイナス圏まで沈んだことも圧迫要因となった。
(3)米国市場では、日銀の早期政策修正の後退観測が引き続き材料視されて円売りが継続、さらに米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.982%から4.041%まで上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きが続いた。ドル/円は、序盤の145.14から145.83まで上昇した。一方、シュナーベルECB専務理事が「インフレの上振れリスクがあるため、警戒を続ける必要がある」とインフレの上振れリスクに言及したことを受けてユーロは主要通貨に対して上昇となり、対円では序盤の158.89から159.93まで上昇し、昨年12/1以来の高値を付けた。
本日のトピックス
日本の実質賃金が20ヵ月連続で減少したことで、日銀の早期の政策修正が後退するとの見方が海外市場でも材料視され、円売りが継続となりドル円・クロス円は堅調な動きとなった。引き続き円売りが継続するのか注目されているが、本日は米消費者物価指数の発表が予定されており、積極的にポジションを傾け難く、様子見ムードから限定的な動きも予想されている。
米消費者物価指数は、前年比ベースでは上振れが予想されているが、コア指数では鈍化が見込まれており、結果が注目されている。12月は原油価格が低下していたことから、消費者物価の下振れを予想する向きもあり、昨年6月に付けた3.0%を下回るのか、並ぶのか注目されている。指標結果を受けて動きが出ることが予想されており、前月も1円以上の動きとなったことから、発表後の動きには注意したい。
1/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
12月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
|
3.2% | 3.1% |
前回は市場予想と一致したものの、前月からは鈍化した。ただ、前月比では上振れとなり、インフレ低下のペースが緩やかであることが示された。今回は、前月から上振れが予想されているものの、原油価格が低下していることから、下振れを期待する向きもある。 |