日経平均銘柄入替えが、先物の売買チャンス!?
日経平均概観
日経平均株価は、参議院議員選挙前日の7月19日につけた14,953.29円を戻り高値に反落し、徐々に上値を切り下げています。しかし、先週末から、ドル円相場が一時99円台をつけるなど、再度円安・ドル高になったことなどから、上値の抵抗ライン突破を伺う動きとなっています。
このラインを抜け、14,000円台の大台を突破すると、短期的な新しい上昇相場となる可能性があります。
図表1:日経平均株価日足チャート
当社HPより、SBI証券投資調査部が作成。データは2013年8月26日現在。
今週の急所 日経平均構成銘柄入れ替えが、先物の売買チャンス!?
日経平均株価は、定期的に10月の第一営業日に入れ替えを行います。日本経済新聞社による入替え銘柄発表は、過去10年間、9月5−9日に行われており、今年は昨年と同じ、第1金曜日となる9月6日となる可能性が高そうです。この銘柄入替えが、日経平均株価に大きな影響を与える可能性があります。
日本証券新聞に各社の予想をまとめたものが、今年8月22日(木)に掲載されていました。
図表2:日経平均入替え各社予想
(出典:日本証券新聞 8月22日 1面)
今回、予想した6社すべてが一致したのが、三菱製紙(3864)の除外です。
また、新規銘柄については、今回は東証・大証の現物株市場統合の影響をどのように考えるかで、予想に大きな違いがあります。日本経済新聞が、東証・大証の重複上場であった銘柄で大阪市場の出来高が大きかった銘柄については、大証分の出来高で考慮すると新規採用する可能性があります。これを素直に考えると、任天堂(7974)、日本電産(6954)などの旧大阪市場が優先市場だった銘柄、今回の統合で誕生した日本取引所グループ(8697)などの採用が考えられます。しかし、これらの銘柄に共通するのが、株価水準の高さです。除外候補が7社共通の三菱製紙だとすれば、100円以下の低位株です。三菱製紙だけの売却代金では、任天堂などの新規採用銘柄が買えないため、ほかの日経平均採用の224銘柄を均等に少しづつ売却する必要が生じ、日経平均株価自体の下落を招く可能性があります。
実際に、2000年4月の値がさ株大量採用時には、日経平均が急落しており、消費税増税を決める直前での株価暴落の引き金を引くことになる可能性のあることを、日本経済新聞社が行うかについては、株式市場でも否定的な見方が多いようです。
となると、旧大証関連の銘柄を外すと、三菱ガス化学(4182)やDeNA(2432)などが採用銘柄として、浮上することになります。
今回の日経平均入れ替えについては、このような思惑が交錯しており、各社からかなり違った予想が出ていますので、機関投資家としては発表の前に動くことが難しいはずです。
日経平均型でインデックス運用されている資金は、数兆円といわれており、新規採用となる銘柄には数百億円の資金が流入することになり、株式市場に大きな影響がありそうです。
下記のグラフは、昨年の野田前首相の解散宣言以後のアベノミクス相場において、日経平均株価をTOPIXで除したNT倍率の推移です。NT倍率の上昇は、日経平均株価とTOPIXで相対的に日経平均株価の堅調、逆に下落はTOPIXの堅調を表します。
図表3:NT倍率
Bloombergデータより、SBI証券投資調査部が作成。
今回の銘柄入替えにおいては、新規採用銘柄の銘柄数、株価水準によっては、大きな売り圧力が日経平均株にかかることになります。
その場合は、NT倍率の低下を予想して、日経平均先物売り・TOPIX先物買いのポジションのチャンスとなりそうです。採用・除外銘柄数が多く、採用銘柄と除外銘柄の株価水準が大きく異なった場合、このポジションの妙味が高まるので、9月初旬の日経平均入替え発表に要注意です。
今後注目のイベント
8月29日(木)旧大証1部銘柄など終値基準でTOPIX算出対象に →新規採用銘柄買い付け資金捻出のため、幅広くTOPIX採用銘柄が売却される可能性
8月30日(金) 前日発表の米4-6月GDP改定値を受けて、米金融緩和縮小の思惑でドル円相場が変動、連れて株式市場も変動する可能性
9月初旬 日経平均構成銘柄の定期入れ替えの発表 値がさ銘柄が新規採用された場合、 採用銘柄買い付け資金捻出のため既存の日経225採用銘柄が換金売りで値下がりする可能性
9月7日(土) 2020年夏季オリンピック開催地決定 東京決定であれば、アベノミクスへの追い風となり、急騰する可能性