先週の日経225先物は前週末比160円安の40,550円と反落。
前週に2,000円以上上昇していたほか、需給イベントを多く控えていたことも意識され、週前半は利益確定売りがやや優勢の展開に。ただ、節目の4万円台に近づくと下げ渋る様子もあり、方向感のつかみづらい展開となった。
3月27日に日本銀行の田村審議員が青森県で行われた懇談会で、緩和的な金融環境が継続するとの見解を示したことを受け、為替市場では円安進行が加速し、ドル・円は2022年10月高値(151.94円)を超える1ドル=151.97円と約34年ぶりの水準に達した。円安進行が下支えとなったほか、配当再投資への期待感もあいまって、日経225先物は一時40,770円まで上昇したが、日本政府要人からの為替変動へのけん制発言が相次いだことで慎重さも出たとみえ、後場はやや上げ幅を縮めた。
さらにこの日の晩、円安進行を受け日本政府と日本銀行が3者会合を開催したことで、為替介入へのトーンが上がったことへの警戒感からドル・円は1ドル=151円台前半へ押し戻された。
28日は権利落ち日だったが、現物市場では配当落ち分(約264円)を上回る下げで始まったことで、ロングも仕掛けづらく、日経225先物はじり安に。為替介入への警戒感で円安進行が一服していることや、翌日に控える日経平均構成銘柄入れ替えに伴う売り需要への警戒感なども上値を重くさせた。
ただ、このところの下落は需給イベント通過による一時的なものという見方も多く、29日は底堅い推移を見せ、後場にはショートカバーが強まった。
3月22日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆7,760億円の買い越し(前週は1兆6,374億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、6億6,756万株の買い越しで、3月15日時点(6億5,387万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(3月22日時点)
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末比で0.07pt高の18.57とほぼ横ばい。
需給イベントや為替介入への警戒感で上昇する場面はあるも、週を通じては方向感が見えにくかった。
4月限オプションの建玉状況
<プット>
39,000円:約5,300枚(前週末比+600枚)
39,500円:約1,600枚(同+600枚)
40,000円:約4,200枚(同+1,600枚)
40,500円:約600枚(同+400枚)
<コール>
40,000円:約4,900枚(同-2,600枚)
40,500円:約3,100枚(同-300枚)
41,000円:約3,400枚(同-100枚)
41,500円:約4,400枚(同+600枚)
42,000円:約4,900枚(同-100枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)は小幅上昇、3月期末で週を通してこう着感の強い展開
NT倍率は小幅上昇。
先週は、3月期末のため、配当・優待の権利取り売買や配当落ちに関連した先物買い、年金のリバランスなど需給面での売買が多く、日経平均、TOPIXはともに方向感に乏しい展開となり、NT倍率も14.57倍台での推移が続いていた。
その後は、タカ派寄りの田村直樹日本銀行審議委員がハト派的な発言を行ったことで、為替は円安進行が加速、28日終値ベースで14.60倍まで上げ幅を広げた。
結果的に週を通してNT倍率は上昇する形となった。
今週の日経225先物は方向感の出づらい展開か。
先週半ばに一時1ドル=152円へ迫ったことで、日本政府は為替変動へのけん制発言のトーンを上げており、為替市場は緊張感のある展開が続いている。ただ、為替介入への警戒が高まっているとはいえ、ドル・円は1ドル=151円台で膠着しており、円買いへシフトしたようにも考えにくい。
また、海外投資家は為替介入実施後のドルの押し目買いを狙っているという見方もあり、急激な為替変動を避けたい日本政府と為替介入の実施によるドル買い好機を狙う海外投資家のにらみ合いが今週も続くと想定する。
日経225先物は急激な為替変動による波乱が否定できないことから動きづらい週となりそうだ。
また、今週は国内で1-3月期日銀短観や地域経済報告(さくらレポート)、米国では3月ISM製造業景況指数や3月雇用統計など注目度の高い経済指標発表が控える。これらの結果やその後の日米高官発言により金融政策見通しを探っていきたいと考える投資家も多いとみられ、大きくポジションは傾けにくいだろう。
今週の225先物予想レンジは39,500−40,500円とする。