6/17(金)の東京株式市場は、大きく売りが先行し、日経平均株価は取引開始時点ですでに2万6千円の大台を割り込んでいます。世界的にインフレが続き、主要中央銀行が利上げを本格化させており、景気悪化が懸念されています。インフレと景気停滞が同時進行するスタグフレーションの様相が強まっています。
米国では、現地時間6/15(水)まで開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利が0.75%引き上げられました。事前の市場予想通りだったこともあり、その日の米国株は6営業日ぶりに反発しました。しかし、FF金利先物市場から計算される予想では、7/27(水)まで開催のFOMCではさらに0.75%利上げされる確率が86%(日本時間6/17午前9時現在)に達しています。利上げは当面続き、FOMCメンバーが予想する2022年末の政策金利は中央値で3.375%(現行は1.75%)となっています。市場の金利上昇懸念は強く、6/16(木)の米国株は大幅反落となりました。
なお、この日はスイスが15年ぶりの利上げを決定し、英国は5回連続の利上げを決定するなど、世界の中央銀行が相次ぎ利上げを決断しました。世界的に金融引き締めの空気が強まっていることが改めて確認されました。
インフレ加速に対応し、世界の中央銀行は利上げのピッチを速めているものの、そのことで、世界景気は減速・後退する可能性が大きいとの見方が増えています。現地時間6/16(木)に発表された米住宅着工件数(5月)は前月比14.4%減となり、市場予想(同1.8%減)を大きく下回りました。企業マインドを示すフィラデルフィア連銀製造業景況指数(6月)も市場予想を下回り、2020年5月以来のマイナスとなっています。インフレと景気停滞が同時進行するスタグフレーションの様相が強まっているといえます。
6/17(金)の東京株式市場の下落は、グローバルに拡大するスタグフレーション懸念の中、世界的に株価が下がったことが直接の要因と言えそうです。ただ、日本独自の要因も指摘されます。
世界の中央銀行が、金融引き締め方向で一致した動きをみせる中、主要国・地域の中央銀行の中で、おもに日銀だけが金融緩和の継続を強調しているためです。ただ、円安が加速する中で、日本でもインフレ圧力は強まっており、世界で多くの投資家が日銀の金融緩和姿勢継続には限界が近いとみています。そうした中、海外投資家の一部が日本国債の先物市場で空売りを仕掛けていることもあり、日本の長期金利にも上昇圧力が強まっています。
その意味で、6/17(金)の日銀金融政策決定会合の結果発表、および黒田総裁の記者会見に対する市場の注目度は高くなってきていたと言えそうです。今後も、長期金利の許容変動幅の引き上げについては、市場の強い関心を集めそうです。
また、重要日程という意味では、米国市場の6/17(金)は先物・オプション等の決済が重なる「トリプル・ウィッチング」であり、その直前は波乱になりやすことが知られています。米国株の最近の波乱は、この「トリプル・ウィッチング」により助長されていた面もありそうです。さらに、6/20(月)の米国株式市場は「ジューンティーンス」(6/19・今年から新たに設けられた休日で「奴隷解放記念日」とも)の振り替え休日となり、3連休となっています。6/17(金)までの数日が、ポジションを取りにくいタイミングであったことは確かでしょう。
東京市場の6/20(月)以降は、重要日程の一巡でポジションは取りやすくなりそうです。また、日経平均株価は窓を開けながら下げてきたことに加え、5/12(木)安値25,688円に接近し、値頃感も台頭しています。目先はいったん下げ止まっても不思議ではないタイミングになってきたと考えられます。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。