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2024-05-05 18:21:27

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年初の医薬品株上昇は本物か!?2024年に活躍できそうな医薬品株を検討

2024/1/10
投資情報部 榮 聡

医薬品セクターのパフォーマンスは2023年に低迷しましたが、2024年の年初には主要銘柄が上昇しました。医薬品株が2023年に低迷した理由のいくつかは2024年に緩和する見通しで、銘柄によっては2024年にパフォーマンスを出す可能性がありそうです。

図表1 注目銘柄

銘柄名 株価(1/9) 52週高値 52週安値
イーライリリィ(LLY) 625.48ドル 636.41ドル 309.20ドル
ジョンソン &ジョンソン(JNJ) 161.63ドル 179.76ドル 144.95ドル
メルク(MRK) 118.43ドル 119.94ドル 99.14ドル
アムジェン(AMGN) 307.26ドル 311.05ドル 211.71ドル
バーテックス ファーマシューティカルズ(VRTX) 421.01ドル 422.00ドル 282.21ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 年初にアウトパフォームした医薬品セクター、出遅れ物色は本物か?

今回は医薬品セクターを取り上げます。医薬品セクターを取り上げようと考えた理由は、2023年に市場平均に対して大幅に劣後したセクターであり、年初に目立った上昇を見せたことから、出遅れ物色の矛先が向かっている可能性があるためです。

〇年初に大幅アウトパフォームした医薬品セクター

図表2の通り、医薬品セクターは2023年を通じて市場平均を大幅にアンダーパフォームしました。医薬品セクター指数の対S&P500指数相対株価は、年初の100に対して年末には約80まで低下しました。

ところが、年明けからは猛烈な反発を見せています。米国株式市場では、S&P500指数に上昇一巡感が出た12月半ば頃より、それまでパフォーマンスが冴えなかった小型株がパフォーマンスを改善するなど、「出遅れ物色」の動きが見られたため、この流れが医薬品株にも波及しつつある可能性があり、今後の動きが気になるところです。

そこで医薬品セクターが2023年にアンダーパフォームした理由と今後について検討してみましょう。

〇医薬品株が昨年不振だった理由と今後の見通し

(1)バイデン政権による薬価抑制の動き

バイデン政権は2022年8月に成立させたインフレ削減法で、65歳以上の高齢者と障害者を対象とする公的医療保険メディケアでの薬価引き下げを目指し、2026年からの薬価引き下げに向けて交渉対象となる10の処方薬を公表しています。また、2023年12月には処方箋薬のコスト削減を目指す新たな措置(連邦政府資金を活用して発明された医薬品の特許権に関する製薬企業への牽制、反競争的買収と反競争的行為の精査)を打ち出しています。

これら施策の影響が表面化するのはこれからですが、政府の意向に沿ってイーライリリィは昨年3月に糖尿病治療に使われるインシュリン価格を大幅に引き下げるなどの対応例が出ています。この点については、2024年も医薬品セクターの重石になり続ける見通しです。

(2)新型コロナ治療薬の反動

新型コロナのパンデミックが世界的に沈静化したことで、ワクチン、治療薬、検査薬の売上が急減して、業績にマイナスの影響を受けた企業がありました。代表的なものは、ファイザー、モデルナ、サーモフィッシャーサイエンティフィックなどです。ヘルスケアセクターのEPSは2023年に前年比21.6%減(S&P500指数採用銘柄全体では同0.8%増)と不振でしたが、このような反動減の影響が大きかったと考えられます。

一方、2024年については上記のような反動減の影響が抜けるため、同18.2%増(S&P500指数採用銘柄全体では同11.8%増)で、S&P500指数の11業種中で最も高い伸びが予想されています。

(3)予想外に堅調だった米国景気

医薬品セクターは景気動向に対する感応度が低いため、景気の先行きに不透明感があるときに注目され、アウトパフォームする傾向があります。昨年初には米国経済のリセッション入りの可能性が取りざたされていましたが、その後は夏場にかけて米国経済は予想外に強く、ディフェンシブセクターがアンダーパフォームしやすい相場環境となりました。

この点については、2024年は米国経済のGDP成長率は前年比1.3%増(2023年は同2.2%増の見込み)に鈍化するため、ディフェンシブセクターが不利になることはないと考えられます。

結論としては、(1)の要因は中長期的な業績抑制要因として残るものの、(2)(3)の要因については、2023年から2024年にかけて改善すると見込まれます。セクター全体として大きく買われることはないと思われますが、(1)の要因に抗って業績拡大できる企業については、十分アウトパフォームできる状況になっていると考えられます。

図表2 医薬品セクターは2023年に大幅アンダーパフォーム、2024年初にアウトパフォーム

  • 注:最後のデータは1/8(月)です。
    ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 個別銘柄の動きを確認、今年の有望銘柄を探る

医薬品セクターについて個別銘柄の動向を確認してみましょう。S&P500指数に採用されている医薬品セクターの銘柄は28銘柄ありますが、時価総額上位15銘柄の過去1年、3ヵ月、5日の株価パフォーマンスを図表3に提示しました。

〇個別銘柄のパフォーマンス状況は?

時価総額上位の主要銘柄では、イーライリリィが唯一市場平均を大幅に上回る74.2%の大幅高となりました。2022年後半から肥満治療薬の市場拡大に市場の注目が集まり、2023年を通じて上昇基調が維持されました。

デンマーク企業のためここにはリストアップされていませんが、ノボノルディスクも肥満治療薬への期待から大幅な株価上昇となり、欧州株式市場で時価総額最大に出世しています。(ノボノルディスク ADR(NVO)として、ADRが米国市場に上場しています)。肥満治療薬への注目はグローバルだと言ってよいでしょう。

一方、ジョンソン&ジョンソン、メルク、アッヴィなどの大手はいずれも市場平均を下回りました。業績の基調は堅調でしたが、個別に注目できるポイントに欠けたためと思われます。

その他の銘柄で上昇が目立つのは、希少疾患向けの医薬品が堅調に伸び、遺伝子治療分野への展開で注目されているバーテックス ファーマシューティカルズ(VRTX)が44.4%上昇、薬価抑制の影響がない動物用医薬品を手掛けるゾエティス(ZTS)が34.1%の上昇となっています。

株価下落のほうで目立つのは、ファイザーとモデルナですが、新型コロナのパンデミックが収束したことで、ワクチン、治療薬の需要が急減したことが要因です。

〇2024年に注目できそうな銘柄は?

注目銘柄を選ぶために医薬品セクターの時価総額上位10銘柄について2021年〜2024年にかけての実績および予想EPSと、2024年予想EPSの2021年と2022年の実績EPSの平均に対する水準を図表4表にお示ししました。2021年と2022年の平均と比較するのは、2023年は新型コロナの反動などで一時的な落ち込みが含まれると考えるためです。

2024年の予想EPSが2021年と2022年実績の平均に比べて高い水準が見込まれている銘柄が注目できるでしょう。さらに、図表3で過去3ヵ月、5日のパフォーマンスが比較的良好であるものも有望と考えられるでしょう。

以上の観点から、イーライリリィ(LLY)、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、メルク(MRK)、アムジェン(AMGN)、バーテックス ファーマシューティカルズ(VRTX)を選んで次節でご紹介いたします。

図表3 医薬品セクターの時価総額上位銘柄の株価パフォーマンス

  • 注:データは1/8(月)時点です。
    ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 医薬品セクターの時価総額上位10銘柄の業績推移(EPS、単位:ドル)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3 2024年に活躍しそうな銘柄をご紹介

2024年に活躍が期待できそうな医薬品銘柄をご紹介いたします。

イーライリリィ(LLY)

新世代の糖尿病治療薬である「GLP-1受動体作動薬」が成長をけん引しています。従来の「GLP-1受動体作動薬」である「トルリシティ」よりも薬効が高い、「マンジャロ」(一般名:チルセパチド)を2022年に投入して順調に売上が拡大しています。さらに、「マンジャロ」と同じ成分が昨年11月8日にFDA(米食品医薬品局)から肥満治療薬「ゼプバウンド」として承認が下りました。

肥満治療薬では、ノボノルディスクの「ウゴービ」が2022年に投入されて先行していますが、臨床試験のときの平均体重の減少は、「ウゴービ」が約15%、「ゼプバウンド」が約21%と効果が高かったため、「ゼプバウンド」に対する期待が持続しています。米大手証券から2030年に1,000億ドル(約15兆円)との予想もある「GLP-1受動体作動薬」(糖尿病治療薬と肥満治療薬の合計)市場の大部分を、この2社が分け合うと見込まれています。

メルク(MRK)

2023年の業績は新型コロナ治療薬の反動減や第一三共との開発提携に伴う契約金などで利益は大きく落ち込みますが、主力のがん免疫治療薬「キイトルーダ」の売上拡大は順調で、2024年EPSは前年比6.2倍、2025年は同12%、2026年は同8%増と拡大が見込まれています。

一方、市場では「キイトルーダ」の特許切れを2028年に控えて、特許切れによる売上急減を和らげる戦略に注目しており、「キイトルーダ」の初期治療への適応拡大や皮下注射による投与による可能性が考えられています。また、成長薬ポートフォリオの獲得も選択肢の一つで、第一三共とのがん治療薬での開発・販売契約締結はその一つとして注目されます。2024年EPS基準の予想PERは13.7倍まで低下しており、バリュー株が買われる局面では注目されやすいと考えられます。

アムジェン(AMGN)

開発中の肥満治療薬「AMG133」が注目されています。2022年12月に公表された第1相臨床試験では、低用量では85日目までに7.19%、高用量では14.52%の体重減を確認しています。第2相臨床試験は2023年初めに開始され、結果は2024年中に出る見込みです。先行するノボノルディスクの「ウゴービ」、イーライリリィの「ゼプバウンド」に対して、少ない投与回数で効果が出ていることから、開発に成功すれば競争力があると期待されています。

足もとの業績は主力の関節リウマチ治療薬「エンブレル」が特許切れで売上減少中であり、乾癬治療薬「オテズラ」などの主要製品も今後数年で特許切れを迎えるため、売上の低下圧力が見込まれています。このため、昨年10月に希少疾患治療薬を手掛けるホライゾンセラピューティクスを買収、甲状腺眼症治療薬「Tepezza」と痛風治療薬「Krystexxa」を手に入れています。

ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)

同社は医薬品部門が同業平均を上回る成長を達成しているものの、消費者向け部門と医療機器部門が成長の足を引っ張っていました。昨年8月に消費者部門をケンビューとして分離、医療機器部門へ注力することで成長性の向上が期待されています。また、ベビーパウダー訴訟において、同社が提案する通り約6万人の原告と89億ドルの支払いで和解できれば、株価の重石が取れると期待されます。

7-9月期決算は売上が前年同期比7%増、調整後EPSが同4%増で、市場予想を上回りました(伸び率は消費者向け部門を除いたもの)。部門別売上は医薬品が同5%増、医療機器が同10%増と堅調でした。医薬品は、「ステラーラ」「トレムフィア」「ダーザレックス」などがけん引し、医療機器は電気生理学分野や手術関連製品が伸びています。

バーテックスファーマシューティカルズ(VRTX)

嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう、Cystic Fibrosis、CF症)の治療薬で成長しています。CF症は遺伝性疾患の一種で、日本人には少なく馴染みのない病気ですが、白人には比較的高頻度で見られます。欧米白人ではおよそ2500人に一人の割合で発病し、患者数は88,000人と推定されています。主力の「Trikafta」などCF症治療薬の売上は2022年の89億ドルから2025年に110億ドルに拡大する見込みです。

今後の新薬パイプラインとしては、遺伝子編集技術「CRISPR」を用いた世界初の治療法「CASGEVY」が、鎌状赤血球症に対して用いられることが昨年11月16日に英国で承認されています。ベータサラセミア(ヘモグロビンを形成する4つのアミノ酸の鎖のうち、β鎖の異常によって生じる遺伝性疾患)への適用も目指しています。また、急性疼痛を抑える「VX-548」は第3相臨床試験が行われており、米国で社会問題となっているモルヒネの代替薬として注目されます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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