来週の株式見通し(2019/2/18〜2/22)
来週(2019/2/18〜2/22)の日経平均株価の予想レンジは20,800円-21,600円。東京株式市場は買い一巡後のもみ合いが予想される。
米国の長期金利がわずかに上昇し始めており、米国株式が許容していけるかが注目ポイントとなる。米10年債利回りは年初に2.5%台まで低下したが、この水準は2015年〜2016年の間に付けた高値水準でもある。つまり、年初の水準が当面の底値となる可能性が高く、今後は緩やかに金利は上昇に向かう公算が多い。
株式市場では昨年から売られすぎた機械や電機などの景気敏感株が足元は相対的に上昇している感はあるが、米中貿易交渉の期限を延ばす可能性はあっても、ここからぐんぐん上値を買っていけるわけではない。
一方、物色の流れでは、日経平均株価が直近の戻り高値を更新する中、1月の戻り高値を依然として上回っていないメガバンク株などに出遅れ買いが入る展開が想定される。銀行株はバリュエーション面で割安感があり、金利上昇メリットに加え、物色の材料になりやすい。
ほか、決算発表後の証券会社による投資判断の変更を材料にした売買や、3月期末を見据えた値ごろ感のある配当・優待妙味株に資金流入なども予想される。
2/18はワシントン誕生記念日で米国市場は休場となる。この時期の直近数年間をみると、ダウ平均は連休明けも2月後半は堅調に推移するケースが多い。相対的に日本株の上値が重く、相場上昇の持続力には海外投資家の動向がカギとなる。
一方、ダウ平均と日経平均株価の単純な価格差(図表1)をみると、2/13現在で4,398Pである。先週末時点では4,773Pと2012年10月以来の水準まで拡大した。
拡大はダウ平均が相対的に大きく上昇するか、相対的に大きく下げないときの現象である。逆に、低下は日経平均株価が相対的に大きく上昇するか、相対的に大きく下げないときの現象である。
2016年以降をみると、ピークを付けたあと低下する局面では、日経平均株価の上昇が相対的にアウトパフォームしたことが多いのがわかる。今年に入ってからの両者の戻りは図表1の通り、明らかにダウ平均の方が上昇幅が大きい。一方、価格差のトレンドは右肩上がりではあるが、短期的には日経平均株価のキャッチアップによって低下することが見込まれる。過去と同じようになるとは限らないが、日本株は円安が支援材料になる可能性は高い。
国内経済指標では、12月機械受注(2/18)、1月貿易収支(2/20)などに注目。海外の経済指標やイベントでは、1/29-30開催のFOMC議事録(2/20)、米12月耐久財受注、米2月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米1月景気先行指数(2/21)、独2月Ifo景況感指数(2/22)などが注目される。
図表1:ダウ平均と日経平均株価の単純価格差(2011/2/14-2019/2/13)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は戻り歩調が続き、昨年12/14以来となる75日移動平均線(21,198円 2/14)超えとなった。
RSI(9日)は61.9%(2/14)まで上昇。依然として50%を超えた水準にあり、過熱ゾーンである70%超に向けて騰勢が続く公算が大きい。
昨年10/2高値を起点に12/3高値を通る右肩下がりの上値抵抗線(現在は下値支持線)を抜け出した。ただ、75日移動平均線が下落基調にあることや、一目均衡表では基準線(20,668円 2/14)の強い上昇がいったん緩む。そのため、目先的な調整はあるかもしれないが、雲上限(20,823円)や上述した下値支持線がサポートになりやすい。
2/5高値(20,981円)を上回り、次は高値から2/8安値までの下げの倍返し21,650円処がターゲットになる。21,650円というのは昨年1年間の高値と安値の中値(21,698円)にも相当する。昨年の高値は10/2の24,448円、安値は12/26の18,948円である。つまり、この戻り相場は半値戻しを意識していることが想定できる。
長期的なフシでみると、昨年の12/26安値は2012年の安値水準を起点に2016年安値を通る長期トレンドライン上で下げ止まり、足元は戻り歩調が続いている。トレンドライン上を維持しながら、2016年時と同様、24カ月移動平均線(21,439円 2/14)を上回る状況になれば、強い上昇期待は復活するだろう。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/2/14)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、12月機械受注(2/18)、1月首都圏マンション発売(2/19)、1月貿易収支、1月訪日外客数(2/20)、12月全産業活動指数(2/21)、1月消費者物価指数(2/22)がある。
一方、海外の経済指標では、独2月ZEW景況感指数、米2月NAHB住宅市場指数(2/19)、1/29-30開催のFOMC議事録、米1月住宅着工件数(2/20)、米12月耐久財受注、米2月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米1月中古住宅販売、米1月景気先行指数(2/21)、独2月Ifo景況感指数(2/22)などが注目される。
米企業決算では、ウォルマート、エコラボ(2/19)、アジレント・テクノロジー(2/20)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(2/21)などが予定している。
なお、2/18の米国市場はワシントン誕生記念日のため休場となる。
新規上場では、2/22に識学(7049)がマザーズに上場する。組織運営理論「識学」に基づく組織改革コンサルティング企業。コンサル企業というより経営幹部向けの研修企業に近い印象を受けるが、独自理論に基づいたサービスということでいずれにしろ独自性あり。設立4期目のスピード上場、足元の業績も急拡大ということで、年明け一発目の株式案件としては人気化が期待できよう。VC次第な面もあるがリスク回避の姿勢もすっかり緩むなか、小粒な資金吸収額を踏まえると早速2日目持ち越しを目指す方向か。
来週の注目銘柄(2019/2/18〜2/22)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4044 | 2,900円 | 2,380円 | ガラス大手。 2019年3月期の第3四半期決算では、累計の連結営業利益が前年同期比70%増の77億円と大幅増益を達成した。上期の47億円からの上積み幅も大きく、通期計画80億円に対する進ちょく率は96%と極めて高い。主力のガラス事業では採算が改善し、化成品事業ではファインケミカル部門が好調。業務効率化を推進しており、営業利益率は前年同期の2.7%から4.4%へと大きく上昇している。株価は75日移動平均線を意識してもみ合い。ただ、一目均衡表では抵抗帯(雲)を上抜けた状態を維持しており、先高期待は続いている。PBRは1倍を大きく割り込んでおりバリュエーション面では割安感がある上に、直近の信用倍率は0.35倍と需給も軽く、上向きのトレンドが続く可能性が高い。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,380円 | |
4626 | 4,500円 | 3,390円 | プリント配線板用のレジストインキなどを手がける。パワー半導体などの基幹部材である高機能可溶性ポリイミドの開発を手がけるウィンゴーテクノロジーへの出資が好感され、2/4の株価は大幅高。それをきっかけに足元は一目均衡表の抵抗帯(雲)を上抜け、昨年12月の戻り高値(3,775円)を更新した。出来高も増加基調にあり、一段高が見込まれる。昨年来安値は12月に付けた2,847円であり、2016年にも3,000円割れをみたところから切り返している。昨年後半に大きく下げた分、上に抵抗は少なく、昨年前半の価格集中帯である4,500円前後に向けて戻りを強める展開を予想する。 ターゲットは4,500円、ロスカットは3,390円 | |
4921 | 3,000円 | 2,250円 | 2019年3月期の第3四半期累計の連結営業利益は前年同期比52%増の107億円と大幅増益。上期では従来計画を超過達成したが、第3四半期時点での通期計画に対する進ちょく率は87%と高水準で通期上振れの可能性も高い。株価は1/16安値(2,131円)で当面のボトムを打った格好となっているが、昨年10/30安値(2,082.5円)を下回ることなく切り返しており、2,100円付近が下値のメドとして強く意識されている。週足の一目均衡表をみても抵抗帯(雲)の下限までで下げ止まって反転しており、中長期的にも魅力的な水準とみられる。ターゲットは3,000円、ロスカットは2,250円 | |
5333 | 1,850円 | 1,500円 | 2/13の上昇で75日移動平均線までの中短期の移動平均線を上にブレーク。今年に入ってからの戻りが2月に入って一服傾向にあったが、今週の動きが強い。一目均衡表でも抵抗帯(雲)の上限がサポートとなって切り返しており、押し目での買い意欲が確認できた。週足でも、先週下回った13週移動平均線を今週に入って早々に上回ってきている。第3四半期累計では営業減益の着地となり、決算発表後の2/1の反応は売りとなったが、ネガティブな反応は一時的で翌日には反発した。PBRは1倍近辺、PERは10倍台前半、配当利回りは3%超とバリュエーション面では買い安心感がある。チャートの好転をきっかけに上昇基調を強める展開を予想する。ターゲットは1,850円、ロスカットは1,500円 | |
6645 | 5,770円 | 4,185円 | 2019年3月期の第3四半期(4-12月)決算では、連結の営業利益は前年同期比12%減の568億円と減益決算となり、通期計画も830億円→720億円と下方修正された。しかし、発表直後の株価は買いが優勢。翌日も大幅高となり、悪材料出尽くしの反応となった。特に、2/1のローソク足が実体の長い陽線となっている点がポジティブ。一目均衡表では抵抗帯(雲)を上回った。米中貿易摩擦の影響が顕在化したことが下方修正の要因だが、株価の方は2018年に一本調子の下落となっており、値幅の調整はかなり進んでいる。200日移動平均線でいったん頭打ちになることも考えられるが、下値を切り上げる展開が続く公算が大きい。ターゲットは5,770円、ロスカットは4,185円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で2/14現在、時価総額が1,000億円以上、PBRが4.0倍以下、配当利回りが1.2%以上、信用倍率が5.0倍以下(2/8現在)、株価が25日移動平均線を上回っている、かつ、200日移動平均線を下回っている中から、業績面や話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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