来週の株式見通し(2021/9/20〜9/24)
来週(2021/9/20〜9/24)の日経平均株価の予想レンジは29,800円-31,000円。東京株式市場は祝日が多く、3日立会いとなる。高値警戒感を背景に買いが手控えられやすく、景気敏感株やアフターコロナ関連株などへの循環物色も手詰まり感が強い。業種選択や個別株に対してはリターンリバーサル志向が強くなりそうだ。
引き続き、中国本土株や香港株を横目に先物主導で神経質な展開が予想され、指数寄与度の大きい半導体関連を中心とした値がさ株の動向に指数の騰落が左右されそうだ。
マザーズ指数の高値からの急反落が警戒ムードを強め、市場全体への売りに波及するシナリオにも留意が必要となる。新規上場(IPO)が月末に向けて増えることで注目度が高くなり、マザーズ市場の強弱感が投資家心理を左右する影響度合いが大きくなる。
一方、中国の不動産開発大手の中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)リスクが浮上している。9/15、中国当局が中国恒大集団の主要債権銀行に、今月9/20が期限の利払いが履行できないと伝えた、と報じられた。中国恒大集団は、「中国のリーマン」になるのではないかと警戒されており、返済期限が延長されるか否かの報道にも要注意である。だが、当局がこのまま放置するとは考えづらく、仮に期限延長などで短期的なリスクが後退する場合、日本株は再び先物への買い戻しが強まり、日経平均株価が31,000円に向けて騰勢を強めるシナリオなども想定しておきたいところだ。
FOMC(連邦公開市場委員会)が9/21〜22に開催される。8月雇用統計の結果を通じてテーパリング(資産購入の段階的縮小)の決定は見送られることがコンセンサスになっているだけに、タカ派的な発言などにはネガティブに反応する可能性がある。FOMCの結果が判明するのは日本時間では9/23の早朝となる。国内市場は休場となるため、FOMCの結果を織り込むのは週末の金曜日となる。市場の反応次第という側面はあるものの、9月の中間期末を前に高配当や優待狙い買いを入れる投資家も増えそうだ。
日銀金融政策決定会合(9/21〜22)では、新型コロナデルタ型のまん延でサービス業を中心に景気下振れリスクを払拭できない状況を踏まえ、現状の大規模な金融緩和策を維持する見通しだ。
日経平均株価(図表1)の連続陽線記録は9/15までの「十二陽連(12日連続陽線)」で途絶えた(下記参照)。ただ、上向き基調で推移する10日移動平均線(30,122円 9/16)上を維持しており、先高期待は継続と判断してよい。
RSI(9日)は87.4%→76.4%(9/16)に低下。過熱ゾーンで強いモメンタムが続いているが、モメンタム自体はいったんピークアウト(減速)しやすいタイミングにある。
25日移動平均線(28,689円 9/16)からの上方かい離率は5.6%。2012年秋口から始まった上昇相場において、強い上昇局面ではおおむね10%かい離まで拡大した経緯がある。
短期的には日柄調整も予想されるが、今回も10%かい離の水準(9/16引け値ベースでは31,557円)が当面の上値の目安となる。ほか、1990年6/26安値31,086円、ボリンジャーバンド20日+2σの31,430円などがある。
<「五陽連」以上の連続陽線記録(1990年以降)>
連続陽線 回数
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十二陽連 1(8/31→9/15)
十一陽連 1
十陽連 2
九陽連 1
八陽連 5
七陽連 8
六陽連 21
五陽連 53
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合計 92
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/1/4-2021/9/16)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合(〜9/22)(9/21)、黒田日銀総裁会見(9/22)、8月全国消費者物価指数(9/24)がある。
一方、海外の経済指標の発表では、FOMC(〜9/22)、米8月住宅着工件数、米20年国債入札(9/21)、パウエルFRB議長会見、米8月中古住宅販売(9/22)、英国金融政策発表(9/23)、独9月Ifo景況感指数、米8月新築住宅販売(9/24)がある。
米企業決算では、レナー(9/20)、フェデックス、アドビ(9/21)、ゼネラル・ミルズ(9/22)、ナイキ、コストコ、アクセンチュア(9/23)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(9/20〜9/24)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1717 | 1,200 | 840 | 事務所や工場、学校などの建設・移転を支援するCM(コンストラクションマネジメント)が主力。株価は4月から非常に強い動きをみせている。足元では国土交通省の入札契約改善推進事業の支援事業者に選定されたほか、温室効果ガスの削減や再生エネルギー導入を検討している企業や自治体向けに保有施設の脱炭素化支援コンストラクション・マネジメントサービスを開始したとも発表しており、政府や自治体向けの売上拡大の期待が高まっている。目先の業績拡大の観測から、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは1,200円、ロスカットは840円 | |
4552 | 3,900 | 2,700 | ヒト成長ホルモン製剤が主力。1Qの営業利益は29.8億円(前年同期比3.8倍)と好調な伸びをみせた。主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤などの売上が伸びたほか、新型コロナウイルスのワクチン原液の販売も開始したことが寄与した。足元では株価が軟調となっているものの、業績拡大基調や、値ごろ感から、今後は投資家の注目を集めやすいと考える。ターゲットは3,900円、ロスカットは2,700円 | |
6465 | 14,000 | 9,800 | 業務用厨房機器大手。上期の営業利益は142億円(前年同期比34.6%増)と堅調に伸びた。国内外で、飲食市場における拡販や顧客開拓を進めた。株価は8月頃から上昇しており、約3年弱ぶりの高値圏にある。ただ、足元の不透明な事業環境下で堅調に業績を伸ばしている底堅さから、とりわけリスク回避の局面でも資金が流入しやすいと考える。ターゲットは14,000円、ロスカットは9,800円 | |
7916 | 2,200 | 1,500 | 中堅の印刷会社。1Qの売上高は37.8億円(前年同期比1.7%減)とややさえない着地となった。印刷事業で、物流伝票の増加等はあったものの新聞関係の減少などが響いた。株価は5月以降下落していたものの、8月中旬頃から持ち直しの動きをみせており、足元では26週移動平均線も上抜けている。テクニカル的な注目点もあり、今後も買いは向かいやすいと考える。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,500円 | |
9115 | 1,050 | 730 | 外航船船主。欧米を中心にコロナワクチンが普及し、また財政政策の効果への期待が高まる中、バルチック海運指数は足元で非常に強い動きをみせている。株価もそれに伴って堅調な推移となっており、一部利益確定売りが出やすい状況もみえるが、中・長期的に事業環境の改善が期待できる中、今後も資金流入は継続しやすいと予想する。ターゲットは1,050円、ロスカットは730円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/15現在、東証1部上場銘柄で、時価総額が5,000億円未満、PERが15.0倍以上、PBRが10.0倍以下、配当利回りが0.5%以上、株価が10日・25日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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