今週の株式見通し(2023/9/4〜9/8)
今週(2023/9/4〜9/8)の日経平均株価の予想レンジは32,600円-33,200円。東京株式市場はしっかりの展開か。米8月雇用統計の弱い結果を受けて一時円高に振れる場面があったが、予想を上回る8月ISM製造業景況指数を受けて米長期金利(米10年債利回り)が上昇し、すかさず円安方向に戻している。金利上昇がグロース市場の戻りを抑える要因になる一方、プライム市場にとっては最近の株高による需給好転を通じて円安含みの環境が追い風になりそうだ。
日米ともマクロやイベント面で目立った材料がなくリスクが取りやすい点からも、週末の9月限メジャーSQまでは堅調なイメージを描きやすい。
8月の日経平均株価は高値圏での保ち合いが続いた。32,000円割れの時間帯は比較的長かったが、円安による業績改善期待が押し目買いにつながった。また、8月終盤はパウエルFRB議長の講演内容で米国株が上昇し、日本株市場も買い戻しが優勢。TOPIX(東証株価指数)は年初来高値を更新した。日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率の低下基調が続いており、TOPIXが優位な局面が続いている。9月は円高方向に強い動きでもない限り、前半は堅調な値動きが期待できそうだ。
物色面では、銀行株指数と鉄鋼株指数に注目したい。銀行株指数と鉄鋼株指数はともに月足の長期波動では2012年と2020年のほぼ同じ時期に大底を打っており、その間の2015年と2017年に2度の戻り高値をつけた。現在は、2020年の大底からの中期上昇局面にあり、両指数ともに8月末の終値で水準が高い方の2015年高値を上回った。長期波動は下落基調から上昇基調に変わった可能性が高く、さらに株高が見込める。
また、鉄鋼株指数と本来なら連動性が高い非鉄金属株の今年に入ってからの出遅れが顕著であり、鉄鋼株のさらなる動意が非鉄金属株を刺激することにもなろう。
日経平均株価(図表1)は先週の5連騰を通じて、25日移動平均線(32,252円 9/1)上を回復した。5日移動平均線(32,412円 同)や10日移動平均線(32,140円 同)、25日移動平均線、75日移動平均線(32,322円 同)などが近い水準に集中しており、株価のボラティリティが上値の方向に高まりやすい局面である。
現在は7月以降で形成される高値と安値を切り下げるフラッグ型の保ち合いパターンの可能性が高く、7/3高値(33,762円)を起点に8/1高値(33,488円)を通る右下がりの抵抗線(フラッグ型の上限水準)が目先の上値のフシになりやすい。
上値メドは、心理的節目の33,000円、8/1高値(33,488円)、6/19高値(33,772円)などが考えられる。下値メドは、10日移動平均線、8/25安値(31,572円)、8/18安値(31,275円)、心理的節目の31,000円、2021年9月高値(30,795円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/9/1)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、8月マネタリーベース(9/4)、7月家計調査、10年国債入札(9/5)、8月都心オフィス空室率、7月景気動向指数(9/7)、メジャーSQ、7月毎月勤労統計調査、4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査(9/8)がある。
企業決算の発表では、泉州電、ロックフィール、フジコーポ(9/5)、積水ハウス、スバル興、Bガレージ、アイモバイル(9/7)、クミアイ化、カナモト、GENDA、日駐、アイル、シーイーシー、ソフトウェアサー、ハイレックス、オハラ、フリービット、ポールHD、gumi、HEROZ(9/8)が予定している。
一方、海外の経済指標では、米7月製造業受注(9/5)、米7月貿易収支、米8月ISM非製造業指数、ベージュブック(9/6)、中国8月貿易収支(9/7)などがある。
なお、9/4の米国市場はレーバーデーのため休場となる。
今週の注目銘柄!(9/4〜9/8)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2788 | 1,100 | 439 | 中古車買い取り専門店「アップル」の運営などを行っている。今年に入り中古車大手のビッグモーターによる不正が大きく問題視されたが、一方で5月半ばごろから同社株は上昇が継続。2023年12月期上期時点の業績進ちょくもよい。業界内でビッグモーターがほぼ機能していない現状、下期は特需的な売り上げも考えられそうだ。5月半ば以降、株価は右肩上がりで上昇。8月後半に25日移動平均線へ接近した際も、割り込まずに反発している。うまく調整をはさんだため過熱感は小さい。大手のネクステージやIDOMと比べるとバリュエーション面でも割安感があるため、業績期待とともに堅調な推移が続くと予想する。ターゲットは1,100円、ロスカットは439円 | |
2875 | 7,000 | 5,700 | 即席めん大手で、「赤いきつね」「マルちゃん」ブランドなどを展開する。第1四半期の営業利益は前年同期比23%増の131.9億円と2桁の増益を達成。決算を受けた同日の株価は上方修正など追加の好材料がなかったことを失望と捉え、強い売りで反応した。しかし、上期計画245億円に対する進ちょく率が53.8%と内容自体は良好。5,800〜5,900円レベルでしばらくもみ合った後、8/17には25日移動平均線を上回り、6,000円台を回復してきた。週足では52週移動平均線に接近しながらも割り込まず、その後の上昇で26週移動平均線を上に抜けている。中期では右肩上がりのトレンドが続いており、短期調整一巡からの上昇再開を予想する。ターゲットは7,000円、ロスカットは5,700円 | |
3543 | 3,500 | 2,710 | メディア紹介も多いコメダ珈琲店を全国展開している。原材料高が続く中、値上げやコロナ禍からの客数回復などにより業績が好調に推移。7月発表の1Q(3-5月)営業利益は前年同期比21%高と伸長した。2Q(6-8月)は猛暑だったが外出需要は強く、引き続き業績期待がもてる。株価は堅調な推移が継続。8/30に権利落ち日となったが、下げたところではすかさず買いが入り下ヒゲ陽線を形成。その後の2日間は大きく買われ、25日移動平均線上を早々に回復し、年初来高値も更新した。当面は押し目買いなども期待できることから、中期スタンスで臨みたい。ターゲットは3,500円、ロスカットは2,710円 | |
5408 | 1,150 | 860 | 鋼板、棒線など鉄鋼メーカー。8/4に発表した2024年3月期1Q(4-6月)の連結営業利益は38億円(前年同期比15.3%増)で着地し、通期の連結純利益は114億円(前期比16.4%減)の見通し。上記発表後は相場全体の地合い悪化もあり、8/18には安値818円まで調整。だが、6月のレンジ水準を意識して反転上昇し、日足ベースの短期・中期移動平均線を一気に上抜ける展開となっている。9/1はほぼ高値引けの陽線で、8/2の直近高値950円を更新した。前日からの出来高増加もまだわずかにとどまっており、ここからの増加余地、強いては株価の上昇余地は大きい。ターゲットは1,150円、ロスカットは860円 | |
6327 | 1,020 | 710 | プリント基板などのプレス関連装置を手がける。8/18に今期ガイダンスを発表。営業減益を見込むことから、翌営業日は売りスタート。ところが、寄り付き直後を安値に下げ幅を縮めプラス転換。最終的に25日移動平均線を上回る大陽線を形成した。今期の配当性向は会社計画で10%にとどまり、昨今の市場環境から還元強化に動く期待もある。大陽線を形成した後の強い反動もなく、25日移動平均線上をキープ。9/1までは出来高を伴い3日連続の陽線となり、一目均衡表の雲も上抜けた。需給好転によりさらに上昇に弾みがつくと予想する。ターゲットは1,020円、ロスカットは710円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/1現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が7,000億円未満、PERが25.0倍未満、PBRが4.0倍未満、配当利回りが0.9%以上、株価が25日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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