今週の株式見通し(2024/1/9〜1/12)
今週の日経平均株価の予想レンジは33,000円-33,800円。東京株式市場は4日立会いとなり、前週に比べると海外発の経済指標やイベント面ではやや材料難か。
先週は米長期金利の上昇で、電機・精密などハイテクグロース株が軟調に推移した。1/11発表の米12月消費者物価指数(CPI)の内容が米国の早期利下げ期待を一段と後退させるような強めの結果となった場合、日米グロース株は相対的に買われづらい。国内ではバリュー中心の物色が続くことが予想される。
一方、CPIがインフレ沈静化を示す内容であれば、直近の金利上昇・ドル買いの反動が生じ、半導体関連を中心にグロース株への買い戻しが予想される。
国内では週末にオプションSQが控えているが、金利動向や米国株の方向性に引き続き強く依存することになりそうだ。ファーストリテイリングなどの小売企業やグロース系企業を中心に決算発表が予定されており、個別物色も盛り上がりが予想される。
為替市場では昨年11月中旬以降の円高局面が一服しつつあり、国内企業の業績への懸念もいったん和らいでいる。電機・精密などハイテクグロース株は急速な金利上昇がともなうと目先の波乱要因にはなるものの、円安への反転は概ね業績面にはプラス要因となる。
能登半島地震による生産活動の落ち込みや政府による復旧対策の補正予算編成などで、日銀金融政策決定会合(1/22-23)での早期マイナス金利解除が困難となり、3-4月会合でも金融政策正常化のハードルが高くなったとの見方が強まりつつある。金利スワップ市場での利上げ確率は、1月の日銀金融政策決定会合では10%を割り込み、3月の会合は20%台へ低下している。そういった金融市場の織り込みが当面の円安・ドル高の環境を作り出す可能性があり、日本株は高値更新をうかがうムードが次第に強まる展開が予想される。
日経平均株価(図表1)は25日移動平均線(33,158円 1/5)上で短期もみ合いが続いている。2024年の大発会は波乱の幕開けとなったが、長い下ヒゲを形成して、押し目買い意欲の旺盛さを示した。
当面は25日移動平均線上でのもみ合いから上放れることができるかが注目ポイントとなり、昨年7月につけた終値ベースの昨年来高値(33,753円)を更新できるかが焦点となる。
上値メドは、12/20高値(33,824円)、心理的節目の34,000円処、10/4安値から10/13高値までの上昇幅を10/13高値に足した34,580円処などが考えられる。下値メドは、25日移動平均線、33,000円、1/4安値(32,693円)、75日移動平均線(32,525円 同)、12/8安値(32205円)、32,000円などが考えられる。
昨年12月の月足ローソク足は陰線となった。ただ、10月から下値を支えている9カ月移動平均線(32545円 1/5)上で、陰線は陰線でも下ヒゲの長いパターンで終えた。11月は8.5%上昇し、6月以来の大陽線を形成。12月の陰線は11月の大陽線の半分程度しかかぶっておらず、単なる反動安に過ぎないと捉えることができそうだ。9カ月移動平均線の上向きは1月、2月も続くことが予想され、12月は一息入れた分、もみ合い上放れにつながる展開がメインシナリオとなる。
日柄面では、2023年7/3高値から10/4安値までの期間は一目均衡表の基本数値の「65」日。10/4安値や10/26安値から「65」日が経過する2024年1月第2週や、2月第1週あたりからの動きが重要となる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/1/5)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、12月東京都区部消費者物価、11月家計調査(1/9)、11月毎月勤労統計調査、10年国債入札(1/10)、12月都心オフィス空室率、11月景気動向指数(1/11)、12月景気ウォッチャー調査、東京オートサロン 2024(幕張メッセ、〜1/14)、オプションSQ(1/12)がある。
企業決算の発表では、ウエルシアHD、イズミ、ネクステージ、クリエイトSDH、アークス、エスクローAJ、WACUL(1/9)、ABCマート、キユーピー、サイゼリヤ、パルGHD(1/10)、ファーストリテイ、7&I−HD、イオンモール、久光薬、イオンFS、ローツェ、USENNEXT、吉野家HD(1/11)、安川電、ベイカレント、ローソン、良品計画、コスモス薬品、SHIFT、ビックカメラ、マネフォワード、クリレスHD、マニー、竹内製作、Sansan、サカタのタネ、ウエストHD、松竹、イオン北海、コメダ、JINSHD、パソナG、アークランズ、ウイングアーク、SFoods、IDOM(1/12)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米11月消費者信用残高(1/8)、米11月貿易収支、世界最大の家電見本市「CES」(米ラスベガス、〜1/12)(1/9)、米10年国債入札(1/10)、米12月消費者物価指数(1/11)、米12月生産者物価指数(1/12)などがある。
米企業決算の発表では、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、ユナイテッド・ヘルス・グループ、ジェーピー・モルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(1/12)が予定している。
今週の注目銘柄!(1/9〜1/12)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1963 | 2,030 | 1,530 | 総合エンジ国内首位。海外でLNGや発電等プラントを手がけている。昨年9月高値2,291.5円からの調整で特に10月以降は軟調に推移しているが、1,600円を割り込んだところでは下値が堅くなっている。PBRは1倍程度でバリュエーション面での割安感もその背景にあると推測される。昨年12/18には1,546円まで下落したが、昨年3月につけた昨年来安値の1,533円は割り込んでいない。11月にも1,561円まで下げたところで切り返しており、2022年も年後半は1,500円台に突入したところで反転している。足元では25日移動平均線を上回ってきており、買いの好機と判断する。ターゲットは2,030円、ロスカットは1,530円 | |
4331 | 1,500 | 1,050 | ハウスウェディング大手。ホテル運営も手掛ける。昨年11月に発表した2024年3月期の中間決算では、主力事業であるウェディング事業で施行組数が前年同期比で減少したものの、婚礼単価が増加し、ほぼ計画通りに推移。ホテル事業は訪日外国人旅行客による宿泊利用や、旅行事業等が消費の回復に伴い好調に推移したため、売上高、各利益において前回予想を上回る結果となった。通期予想は据え置きとしたが、株価は上方修正期待を背景に戻り歩調を強めている。上記決算発表をきっかけに一目均衡表では雲上に浮上し、さらに昨年11月の戻り高値1,222円を今年に入って更新した。200日移動平均線上を維持しながらの現象であり、2022年8月高値(1,915円)からの長い下降トレンドが一巡し、本格的なリバウンド局面入りに期待できそう。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,050円 | |
5201 | 6,000 | 5,100 | 三菱系のガラス大手。フォトマスク(半導体回路の原盤)の基となるマスクブランクスを手がけており、EUV(極端紫外線)向けの需要が今後拡大すると見込まれている。先端半導体の開発には欠かせない存在だが、PBRは0.7倍台、配当利回りは前期基準で約4%と魅力的な水準である。12月の権利落ちにより一瞬下げたものの、急速に値を戻し5,300円台を回復。上昇基調のチャートは崩れておらず、ここ1年のトレンドは継続中とみられる。新年1/4以降はバリュー株優位の相場となっており、前述のとおり同社株にも妙味がある。オシレーター系指標も過熱感が出ておらず、しばらく買い優勢の展開が続くと予想する。ターゲットは6,000円、ロスカットは5,100円 | |
6862 | 1,700 | 1,010 | 産業用メモリーやデバイスプログラマーなどを展開している。昨年11月に今期の利益見通しを上方修正。ROM書き込みサービス事業が好調なためとした。半導体メモリー市況は低迷しているものの、PCの記憶装置であるSSDの価格が9四半期ぶりに上昇。来期以降、メモリー関連事業の持ち直しが期待される。2023年は躍進し、年間上昇率が約3.3倍となった。昨年12/7につけた高値1,565円から調整しているが、上昇トレンドを崩すほどではない。高値から2割強下げたところで力強く買い戻されており、25日移動平均線上に回帰する場面もあった。この株価水準であっても現状のPERは6倍台であり、電気機器(東証スタンダード)の単純平均を大きく下回る。調整を経て短期的な過熱感も解消してきたことから、買いのタイミングとみる。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,010円 | |
9007 | 2,450 | 2,080 | 新宿拠点の鉄道大手。昨年12/21に連結子会社譲渡に伴い特別利益を計上見込みであることや、自己株取得を発表。これを受けた12/22の株価も買いで反応した。11月後半に大きく下げたが、11/30に長い下ヒゲをつけて反転。10/16につけた2,012円は割り込まなかった。直近でも25日移動平均線付近では底堅い動きをみせている。週足では26週移動平均線が強いサポートとして機能している。1/5には日足の一目均衡表で雲を再び上に抜けており、ここからは上値が軽くなる展開を予想する。ターゲットは2,450円、ロスカットは2,080円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・1/5現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が100億円以上、PERが20.0倍未満、PBRが2.0倍未満、配当利回りが0.9%以上の中から、テクニカル面や業績面、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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