今週の株式見通し(2024/3/18〜3/22)
今週(2024/3/18-3/22)の日経平均株価の予想レンジは38,600円-40,000円。東京株式市場は3/20が祝日のため4日立会い。週前半の日銀政策決定会合、後半はFOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受けて変動幅が大きくなる展開が予想される。日銀会合では、マイナス金利やイールドカーブコントロール(YCC)の解除がほぼ織り込まれつつある状態にあって、その思惑から円高・株価調整が進んだ経緯がある。日銀会合後の植田総裁会見までを含め、どういったメッセージが市場に届けられるかが注目ポイントだ。日銀会合通過によるドル売り・円買いの巻き戻し(ドル買い・円売り)が一段と活発化する可能性も高い。
ただ、国内市場は祝日明けにFOMCの結果を織り込むかたちになるため、全体的に動きが大きくなるのは週後半になるだろう。
先週末に発表があった米3月ミシガン大期待インフレ率速報値は、1年先が3.0%、5年先が2.9%とともに前月から横ばいとなった。CMEのフェドウォッチが示す3月開催のFOMCでの政策金利据え置き確率は前日の98%から99%に上昇し、6月FOMCでの利下げ確率は59%から57%に低下した。最近の物価情勢を背景に、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の会見で改めて早期の利下げに慎重な姿勢が示された場合、ドル買い・円売りの動きが予想以上に強まる可能性が高く、日本株は日経平均先物買いが誘発されることで4万円をうかがう場面があることも想定しておきたい。
一方、米10年債金利の上昇は半導体を中心にハイテク株の不安定さが増す要因となる。国内市場では半導体関連以外への選別物色が市場全体を支えする地合いとなっているが、それは米主要指数が高値圏を維持している環境だからこそである。先週、米国市場ではハイテク株の影響を受けやすいS&P500、ナスダックともに小幅に2週続落となった。3週目の続落の場合は下落幅が大きくなる可能性が高いことや、為替市場で逆に円高方向へ動きが強くなると、日経平均先物へは売り圧力が強くなることが予想される。
いずれにしても、中銀イベントを通じて、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がともに高値更新に向けた動きにつながるのか、それとも調整色を強める動きにつながるか。この先の短期的な方向性を決める重要な週となりそうだ。
日経平均株価(図表1)は3/11の急落後は25日移動平均線(38,817円 3/15)を挟んで保ち合いが続く。基本的には直近安値である2/29の終値39,166円を割り込んでおり、調整が長引いているという現状判断となる。
一方、25日移動平均線の上昇は続いている。3/15は25日移動平均線を下回ったものの陽線で終えており、連日の下げ渋りが反転上昇につながるかが重要なポイントとなる。短期的な反発値幅の大きさによっては、高値保ち合いか、一段安につながるかの今後の判断材料になりえる。
終値ベースでみた上値メドは、10日移動平均線(39,341円 同)、心理的節目の40,000円、直近高値となる3/4の終値40,109円、2023年7月高値から同年10月安値までの下落幅に対する3倍返しとなる40,207円などが考えられる。
一方、短期的な下値の目安は、心理的節目の38,000円、2/14高値 37,825円、心理的節目の37,500円、心理的節目の37,000円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/3/15)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、日銀金融政策決定会合(〜3/19)、1月機械受注(3/18)、植田日銀総裁記者会見、2月訪日外客数(3/19)、2月貿易統計、2月首都圏マンション発売(3/21)、2月消費者物価指(3/22)がある。
企業決算の発表では、サンバイオ、トウキョベース、テクノロジー、tripla、システムディ、Mマート、ダイワサイクル、LeTech、マツモト(3/18)、サツドラHD(3/19)、ツルハHD(3/21)、コーセル(3/22)が予定している。
海外の経済指標やイベントは、中国2月小売売上高、中国2月鉱工業生産、米3月NAHB住宅市場指数(3/18)、独3月ZEW景況感指数、米FOMC(〜3/20)、米2月住宅着工件数、米20年国債入札(3/19)、パウエルFRB議長記者会見、半導体などの見本市「セミコン・チャイナ」(上海、〜3/22)(3/20)、米10-12月期四半期経常収支、米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米3月製造業購買担当者景気指数、米2月中古住宅販売(3/21)、独3月Ifo景況感指数(3/22)などがある。
主な海外の企業決算の発表では、ゼネラル・ミルズ、マイクロン・テクノロジー、テンセント(3/20)、アクセンチュア、ナイキ、フェデックス、ファクトセット・リサーチ・システムズ、ルルレモン・アスレティカ(3/21)などが予定している。
今週の注目銘柄!(3/18〜3/22)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2685 | 4,500 | 3,400 | イトーヨーカ堂が衣料品分野で自社開発から撤退。アダストリアがヨーカ堂に商品を供給することになったが、その新ブランド「FOUND GOOD」がスタートした。イトーヨーカドー側でも「アダストリアがプロデュースしたブランド」ということを強くアピールしており、販路拡大が期待できる。株価は2月中旬から軽めの調整が入ったが、一目均衡表の抵抗帯(雲)下限近辺で踏みとどまる動きがしばらく続き、直近では逆に雲の上限を上に抜けてきた。移動平均線では10日移動平均線、25日移動平均線と短期の節目をまとめて上回っており、チャートが一気に好転した。ターゲットは4,500円、ロスカットは3,400円 | |
3204 | 590 | 418 | 毛紡大手で自動車内装や半導体部材なども手掛ける。株価はしばらく下落が続いていたが、2023年5月ごろからの上昇により週足ではトレンド転換の公算が大きい。直近2月は52週移動平均線前後で反発しており、押し目ではしっかりと拾われている。3月に入ると上方向へ大きく動き、日足の一目均衡表では三役好転の強い買いシグナルが発生した。2022年9月につけた上場来安値327円に対し足元は450円台に戻しているが、それでもPBRは0.3倍台と低い。自社株買いの期間でもあり、下げたところでは買い支えが期待できる。モメンタムも上昇基調であることから、堅調な推移を予想する。ターゲットは590円、ロスカットは418円 | |
5406 | 2,170 | 1,830 | 国内鉄鋼大手。収益性が改善しており、今期は過去最高益の見通し。2023年に株価が大きく上昇したが、それでもPBRは0.7倍台。配当利回りも4%を超える。鉄鋼株人気が高まるなか、USスチール買収を巡る不透明感がある日本製鉄と比べ、相対的にリスクは低いと考える。1月半ばから2,000円をはさんで上下しており、直近下げたところでは75日移動平均線を割れずに反発した。横ばい推移のボリンジャーバンド-2σあたりで下げ止まっていることから、このまま戻せば+2σ(2,130円程度)や昨年来高値2,179円あたりが上値めどとなる。日米の金融イベントを控え警戒感が高まる状況で、ローリスク・ミドルリターンが期待できる。ターゲットは2,170円、ロスカットは1,830円 | |
5711 | 3,200 | 2,540 | 3/14は非鉄株に動意が見られる中、9%を超える上昇。その手前までは2,600円近辺でのもみ合いが続いていたが、75日移動平均線を割り込むことなく値固めが進展していた。3/14の急伸で25日移動平均線を明確に上に抜け、昨年来高値を更新した。中期では2020年までの下落基調から値固めが進展。2023年に入ってからは上昇基調に入っている。今回は昨年来高値更新に加え、2021年5月の戻り高値2,745円も上抜けており、次は3,000円の心理的節目〜2019年11月の高値3,230円が短期目標となる。中期的には、2017年11月につけた4,605円を試しに行く展開を予想する。ターゲットは3,200円、ロスカットは2,540円 | |
7518 | 3,400 | 2,470 | 情報インフラ構築および関連サービスを展開する。3Q決算が好感されて2/5に急伸。営業利益は3Q累計で前年同期比7%減益となったものの、上期の63億円に対し3Q累計では121億円と、直近3カ月で大きく利益を積み上げている。決算で跳ねた後は利益確定売りに押された。しかし、2/16に実体の長い陽線を形成した後は下げ止まり、節目の2,500円を割り込むことなく切り返した。右肩上がりの25日移動平均線もサポートとして機能している。3/15は高値が2,828円まであり、2/5につけた2,845.5円に接近した。昨年12月以降の基調は強く、早々に2月の水準を超えて上値が軽くなる展開を予想する。ターゲットは3,400円、ロスカットは2,470円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・3/15現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が1兆円未満、PERが23.0倍未満、PBRが3.5倍未満、配当利回りが2.0%以上、株価が5日・75日・200日移動平均線を上回っている中から、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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