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金は米長期金利上昇によるドル高が圧迫
提供:SBIゴールド
金はイタリアの連立政権の行方も確認
5月14日の週のニューヨーク金市場は、米長期金利上昇によるドル高を受けて軟調となった。1,300ドルの節目を割り込み、2017年12月以来の安値1,284.0ドルを付けた。米10年債利回りは3.128%と2011年7月以来の高水準となった。週末に上昇が一服したが、米債券市場での利益確定の動きとみられており、利回り上昇が終わったとみる向きは少ない。
CMEのフェドウォッチによると、米金利先物市場は年4回の利上げを織り込みつつある。18日時点の6月利上げ確率は95.0%、9月が74.0%、12月は据え置きが40.0%、利上げが43.8%となっている。前週発表された米経済指標では4月の米小売売上高が2カ月連続で増加した。5月のニューヨーク連銀製造業業況指数とフィラデルフィア連銀製造業業況指数が事前予想を上回り、好調な内容となった。またニューヨーク原油が2014年11月以来の高値72.30ドルを付けており、今後のインフレ要因になるとみられている。ただ米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、政策金利が中立金利に「極めて近い」とし、追加利上げは経済成長の鈍化やインフレ押し下げにつながるとの認識を示した。
米中通商協議では、中国が米国の製品やサービスの購入を大幅に増やすことで合意した。共同声明では「米国の対中貿易赤字の大幅削減に向け、効果的な措置を取ることで一致した」とされた。ただ両国の関税引き上げ計画の先送りや中止への言及はなく、今後も協議を継続することで一致した。ムニューシン米財務長官はテレビ番組で「貿易戦争を保留にする。関税措置をいったん保留にすることで合意した。一方、枠組みの執行は目指していく」と述べており、今後の協議の行方を確認したい。
北朝鮮は16日、米韓軍事訓練を「挑発行為」とした上で、予定していた韓国との閣僚級会談を中止せざるを得ないと発表した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、米政府が北朝鮮の核プログラム放棄を一方的に主張し続けるならば、北朝鮮は米国との首脳会談開催を再考するかもしれない、とした。「リビア方式」を採用すべきだとするボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)を批判している。ただトランプ米大統領は17日、米朝首脳会談の開催を巡り北朝鮮側から何ら通達は受けていないと語り、金正恩朝鮮労働党委員長との会談予定に今のところ変更はないとの考えを示した。今週は22日に米韓首脳会談があり、6月12日に予定されている米朝首脳会談に向けた動きを確認したい。
イタリアの極右政党「同盟」と大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」は、連立政権樹立のための政策合意について党員投票を実施し、9割超の支持が得られたことを明らかにした。同盟と五つ星は18日、数十億ユーロの減税や貧困層の福祉への追加支出、年金改革の撤回などを盛り込んだ政策合意を公表していた。歳出拡大懸念を受けてイタリア10年債利回りは一時2.222%まで上昇し、昨年7月以来の高水準となった。同盟と五つ星の両党首は21日にマッタレッラ大統領に面会し、政策合意と首相候補を報告するとしており、承認されるかどうかとイタリア国債の反応を確認したい。歳出拡大懸念が続くと、ユーロは軟調に推移することになりそうだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月15日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは9万2,443枚となり、前週の10万7,440枚から縮小した。今回は新規買いが2,920枚、新規売りが1万7,917枚出て、買い越しを1万4,997枚縮小した。一方、5月18日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.36トン減の855.28トンとなった。米長期金利上昇やドル高を受けて投資資金が流出した。
NYプラチナはドル高などで一代安値を更新
ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高を受けて軟調となり、881.2ドルまで下落し、一代安値を更新した。米長期金利上昇によるドル高が圧迫要因になった。米中通商協議に先行き不透明感が残り、パラジウムに利食い売りが出たことも圧迫要因である。英ロンミンの買収を表明している南アのシバニェ・スティルウォーターがリストラを進める方針を示していることが下支え要因だが、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)は「プラチナ・クォータリー」で2018年も供給過剰見通しを示しており、上値は重い。ただ供給過剰幅は縮小するとみられている。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月15日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは8,196枚となり、前週の1万0,388枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで11.19トン(11日11.13トン)に増加、ニューヨークで15.83トン(同16.72トン)に減少、南アで25.30トン(同25.30トン)と横ばいとなった。
NY原油は2014年11月以来の高値
ニューヨーク原油は、イランの減産見通しや米国の在庫減少などを受けて堅調となり、2014年11月以来の高値72.30ドルを付けた。一方、国際エネルギー機関(IEA)が月報で2018年の需要見通しを下方修正し、上値が抑えられる場面も見られた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した5月11日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比140万4,000バレル減少した。事前予想は175万バレル減。また米原油輸出が過去最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された5月18日までの週の米石油リグ稼動数は前週比変わらずの844基となった。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月15日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは64万4,444枚となり、前週の67万9,928枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は18日時点で1億3,510万株となり、前週末比210万株減少した。
ニューヨーク金はドル高で1,300ドル割れ
ニューヨーク金6月限は米長期金利上昇によるドル高を受けて1,300ドルの節目を割り込み、2017年12月以来の安値1,284.0ドルを付けた。米10年債利回りが3.128%と2011年7月以来の高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しが強く、金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことが圧迫要因になった。テクニカル面では200日移動平均線から下放れ、弱気となっている。
5月21日からの週の注目ポイント
21日 |
日本貿易収支(4月) |
☆ |
---|---|---|
アトランタ連銀総裁、講演 |
☆☆ |
|
22日 |
ミネアポリス連銀総裁、講演 |
☆☆ |
フィラデルフィア連銀総裁、講演 |
☆☆ |
|
米韓首脳会談 |
☆ |
|
23日 |
英消費者物価指数(4月) |
☆☆☆ |
米新築住宅販売件数(4月) |
☆ |
|
米FOMC議事録 |
☆☆☆ |
|
24日 |
米中古住宅販売件数(4月) |
☆ |
NY連銀総裁、講演 |
☆☆ |
|
フィラデルフィア連銀総裁、講演 |
☆☆ |
|
EU財務相理事会 |
☆ |
|
ユーロ圏財務相会合 |
☆ |
|
25日 |
独Ifo景況感指数(5月) |
☆☆ |
米耐久財受注(4月) |
☆☆ |
|
ダラス連銀総裁、アトランタ連銀総裁、シカゴ連銀総裁パネル討論会 |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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