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金は米中の通商協議の行方を確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は欧米のハト派の金融政策の見方が支援要因
7月1日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測の後退を受けて調整局面を迎えたが、景気の先行き懸念が残ることや欧米のハト派の金融政策の見方を背景に押し目を買われた。ただ予想以上の米雇用統計に上値を抑えられた。米セントルイス地区連銀のブラード総裁が、7月(30、31日開催)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(BP)の利下げが必要だとは考えていないと述べたことをきっかけに米FRBの大幅利下げ観測が後退した。6月の米雇用統計が好調な内容となったことも大幅利下げを否定する要因となった。非農業部門雇用者数は22万4,000人増と5カ月ぶりの大幅な伸びとなり、事前予想の16万人増を上回った。ただ失業率は0.1%ポイント上昇の3.7%となり、時間当たり賃金は前月比0.2%(6セント)増と緩やかな伸びとなった。一方、欧米の金融当局者の人事を受けてハト派の金融政策の見方が強まった。欧州連合(EU)は、ブリュッセルで開いた首脳会議で、欧州中央銀行(ECB)総裁にフランス出身の国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、欧州委員長にドイツのフォンデアライエン国防相を起用することで合意した。またトランプ米大統領は、セントルイス地区連銀のクリストファー・ウォラー執行副総裁と欧州復興開発銀行(EBRD)米国理事のジュディ・シェルトン氏をFRB理事に指名する意向を示した。ジュディ・シェルトン氏は、金融当局者は金融市場を支えている支援を打ち切るべきではないとの考えを示している。オーストラリア準備銀行(RBA)が、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25BP引き下げ、過去最低の1%とすることを決定しており、世界各国の中央銀行が緩和的な金融政策を採ると、金価格の支援要因になるとみられる。今週は10日にパウエル米FRB議長による下院金融委員会での議会証言があり、金融政策の見通しを確認したい。
米通商代表部(USTR)は、欧州連合(EU)による民間航空機への補助金を巡り報復関税を課す可能性のある40億ドル相当の追加品目リストを公表し、欧州に圧力をかけており、貿易戦争に対する懸念が残る。ただ米中首脳会談で通商協議を再開することで合意しており、当面は米中の協議の行方が焦点である。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は通商協議の継続に向け、両国の交渉団トップが数週間中に直接顔合わせすると語った。電話協議が再開しており、中国は交渉合意にはこれまでの関税措置を米国が撤回することが不可欠との立場を崩していない。
ポンペオ米国務長官は7日、イランが核合意で定められた濃縮度の上限を超えるウラン濃縮の作業に着手したことを受け、「より一層の孤立と制裁を招くだろう」とツイッターに投稿し、制裁強化の方針を表明した。国際原子力機関(IAEA)は1日、イランの低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で定められた上限を超えたと明らかにした。一方、イランのロウハニ大統領は、7日以降にウランの濃縮を2015年の核合意で規定した上限を超えて必要な水準まで進める方針を示した。トランプ米大統領はこれに対し、「イランよ、脅しには気をつけろ。誰も受けたことのない、手痛いしっぺ返しをくらうだろう」とツイッターに投稿した。英海兵隊は4日、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアに原油を輸送していた疑いのあるイランの大型石油タンカーを英領ジブラルタル沖で拿捕した。欧州諸国による石油タンカーの拿捕は今回が初めであり、イランと西側諸国の対立の行方も焦点である。
7月5日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.93トン増の796.97トンとなった。景気の先行き懸念や欧米のハト派の金融政策の見方を受けて投資資金が流入した。ただ一部で利食い売りも出ており、上値を抑える要因になった。一方、次回の米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告の発表は8日となる。米独立記念日の影響で発表は1日遅れとなる。6月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,554枚(前週20万4,323枚)に拡大した。
プラチナは予想以上の米雇用統計で急落
ニューヨーク・プラチナ期近10月限は、5月16日以来の高値851.6ドルを付けたのち、欧米のハト派の金融政策の見方が下支えとなる場面も見られたが、予想以上の米雇用統計をきっかけに急落した。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退し、ドル指数は6月19日以来の高値97.44を付けた。CMEフェドウォッチによると、米短期金利先物市場で7月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.75〜2.00%が4.9%(前週32.3%)、2.00〜2.25%が95.1%(同67.7%)となり、25ベーシスポイント(BP)の利下げが見込まれている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで11.27トン(前週末11.28トン)、ニューヨークで22.18トン(同21.60トン)、南アで33.01トン(同32.10トン)となった。一方、次回の米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告の発表は8日となる。米独立記念日の影響で発表は1日遅れとなる。6月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1,986枚(前週1,970枚)に拡大した。
ニューヨーク金は高値圏で値固め
ニューヨーク金8月限は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退したことを受けて調整局面を迎え、6月20日以来の安値1,384.7ドルを付けたのち、景気の先行き懸念などを背景に押し目を買われた。その後は予想以上の米雇用統計をきっかけに戻りを売られたが、1,400ドル割れの下値は限られた。1,400ドルを挟んでレンジを形成しており、テクニカル面ではどちらに放れるかが焦点である。米中の通商協議が再開される見通しであるが、米国は中国製品に対する関税を維持するとしており、今後発表される経済指標を確認したい。
7月8日からの週の注目ポイント
8日 | 機械受注(5月) | ☆☆ |
国際収支・経常収支(5月) | ☆☆ | |
独鉱工業生産指数(5月) | ☆☆ | |
独貿易収支(5月) | ☆ | |
米消費者信用残高(5月) | ☆ | |
9日 | マネーストック(6月) | ☆ |
10日 | 中国消費者物価指数(6月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(6月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(5月) | ☆☆ | |
英貿易収支(5月) | ☆ | |
米卸売在庫(5月) | ☆ | |
米FOMC議事録公表(6月18-19日) | ☆☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
11日 | 独消費者物価指数(6月確報) | ☆☆ |
米消費者物価指数(6月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(6月) | ☆☆ | |
12日 | 中国貿易収支(6月) | ☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(5月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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